本書はCIAが誕生してから、イラン大量破壊兵器の存在に関する間違いから崩壊するまでの約60年をひも解いたものである。上巻はCIA誕生からベトナムへの介入までを取り上げているため、どちらかというと現代史を読んでいるようだが、下巻はベトナム戦争からイラン革命、ソ連のアフガニスタン侵攻、イラン・コントラ事件、湾岸戦争、ソ連崩壊、9・11とある程度の年齢であればリアルタイムで見聞きしてきた世界の紛争でCIAが何をして、何をしなかったのか、が詳細に書かれている。かなりのボリュームになるので、特にこだわりがないのであれば、下巻だけでも読む価値があるのではないだろうか。
その中でも“第50章「重大な間違い」イラク大量破壊兵器”はアメリカのイラク進攻の根拠となっていたことに対する事実関係、CIAが何をもってイランに大量破壊兵器を保有しているかということを大統領にインプットしていたのかが明らかになっている。この部分は貴重な歴史の検証ともなると同時に、リアルタイムで起きている紛争の背景を知るうえで貴重な資料といえる。
この不始末をもってCIAは解体の憂き目にあうのだが、その後CIAのトップは文官から軍人に移行し、諜報活動がCIAを退職した職員の所属する民間会社にアウトソースされ、諜報予算がそのままビッグビジネスになっている点も見逃せない。国家の諜報活動が軍人のコントロールの元、民間企業にアウトソースされることの新たな課題も提示している点も見逃せない。
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CIA秘録〈下〉-その誕生から今日まで (文春文庫) 文庫 – 2011/8/4
- 本の長さ604ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2011/8/4
- ISBN-104167651777
- ISBN-13978-4167651770
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2011/8/4)
- 発売日 : 2011/8/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 604ページ
- ISBN-10 : 4167651777
- ISBN-13 : 978-4167651770
- Amazon 売れ筋ランキング: - 284,671位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年12月23日に日本でレビュー済み
2023年10月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
陰謀論と実際に起きた陰謀の違いがよくわかる本です。
2019年1月30日に日本でレビュー済み
CIAからもたらされる情報は膨大なものだ。情報量は洪水と言ってもよい。
一つの話には裏と表がある。立脚点が違えば異なるものが見えて当然だ。さらに、真実だけでなく、虚偽(意図的な誤報)も混ざってくる。
人権外交を言い出したのはカーターだ。私は、前大統領のオバマを連想する。アメリカの人種差別を乗り越えた最初の黒人で、広島を慰霊した大統領というイメージからだろうか?カーターの後がレーガンでこの時代は、米ソ冷戦が激化、そして、ソ連の崩壊・東西冷戦の終結という時代の流れだった。今、トランプが登場し、米国と中国の争いが激しくなっている。30~40年前の歴史の波が繰り返されているのだろうか?⁉️
そのような大きな波の動きを考えながら本書を読むと個々の事象の洪水に溺れないですむように思う。
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