【7月2日 AFP】(写真追加)英ロンドンにあるケンジントン宮殿(Kensington Palace)の庭園で1日、故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)の生誕60周年に合わせ、元妃の像がお披露目され、兄弟間の確執が取りざたされている長男ウィリアム王子(Prince William、39)と次男ヘンリー王子(Prince Harry、36)が共に除幕を行った。

 両王子が共に公の場に姿を見せたのは、4月に執り行われた祖父フィリップ殿下(Prince Philip)の葬儀以来。両王子は珍しく共同名義で出した談話で、「母の60歳の誕生日であったはずのきょう、私たちは母の愛と強さ、人格を追憶している。母はこうした資質により、世界中の善に向けた力となり、数えきれない人々の生活を向上させた」と表明。「私たちは毎日、母が今も生きていればよいと思っており、この像が母の人生と遺産を象徴するものとして永遠に受け止められることを願う」と述べた。

 除幕式は新型コロナウイルス流行の影響で簡素に行われ、元妃の弟スペンサー伯爵(Earl Spencer)らごく少数が出席。メディア関係者の参加も制限された。ヘンリー王子は以前からメディアによるプライバシー侵害を批判し、複数の報道機関に対する法的措置も取っており、除幕式での報道機関制限は王子の強い要望によるものだったとも伝えられている。

 1997年に仏パリで事故死したダイアナ元妃の葬儀で母のひつぎの後ろを歩く姿が印象的だった両王子は、一時はそれぞれの妻キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)と共に、王室を近代化し若者世代にアピールする存在と受け止められ、「ファブ・フォー(Fab Four)」と呼ばれていた。

 しかし、親密だった関係はその後、目に見えて悪化。ヘンリー王子は2019年、テレビのインタビューでウィリアム王子との不仲説について問われ、「異なる道を歩んでいる」と明かした。ヘンリー王子夫妻は2020年に英王室を離脱し、現在は米国に暮らしている。夫妻は、王室での息の詰まる暮らしで心の健康を害したと訴えている。

 英王室関係者の伝記を手掛ける作家ロバート・レイシー(Robert Lacey)氏は、王室では「王位継承者とその兄弟」の確執は珍しくないが、ウィリアム王子とヘンリー王子の対立は数世代さかのぼっても「ここまで深刻なものはなかった」ほどだと指摘。今回の除幕式は、王子兄弟の関係修復に向けた重要な第一歩となるとの見方も出ている。(c)AFP