【12月11日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は10日、モロッコとイスラエルが国交正常化で合意したと発表した。今年イスラエルを国家承認したアラブ国家は4か国目。米国は引き換えに、領有権争いが続く西サハラ(Western Sahara)に対するモロッコの主権を認めた。

 トランプ氏はツイッター(Twitter)に、「イスラエルとモロッコ王国が完全な外交関係で合意した。中東和平に向けた非常に大きな進展だ!」と投稿した。

 ホワイトハウス(White House)は、トランプ氏がモロッコの国王モハメド6世(King Mohammed VI)と電話会談し、「西サハラ全体に対するモロッコの主権を認めた」と明らかにした。

 モロッコ王室は声明で、イスラエルとの国交正常化を「遅れを最小限にして」進めると表明し、米国によるモロッコの西サハラでの主権承認を「歴史的」決定と称賛。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はモロッコとの国交正常化を「歴史的」とたたえ、両国間の直行便運航が間もなく再開すると述べた。

 トランプ氏の義理の息子で大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏は記者団に対し、次の展開としてイスラエルとサウジアラビアの国交正常化は「不可避」だとの見解を表明しつつ、「時間枠についてはもちろん、今後取り組まなければいけない」と述べた。

■西サハラ独立派は非難、国連も紛争地との認識変えず

 モロッコと西サハラの領有権を争っている独立派武装組織「ポリサリオ戦線(Polisario Front)」は、「間もなく退任するドナルド・トランプ米大統領が、モロッコに帰属しないものを帰属させた事実を、最も強い言葉で非難する」と表明。トランプ氏の発表は「国連(UN)憲章と(中略)アフリカ連合(AU)の基本原則に対するはなはだしい違反であり、紛争の平和的解決を模索する国際社会の努力を妨げるものだ」と批判した。

 一方、国連は、西サハラを係争地とみなす立場に変化はないと発表。アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は広報官を通じ、「安全保障理事会(UN Security Council)の決議に基づいて問題の解決策を見いだせる」との考えを表明した。

 アルジェリアの支援を受けるポリサリオ戦線は、西サハラの5分の1を実効支配し、数十年にわたって自決権を要求してきた。国連の仲介で停戦が続いていたが、ポリサリオ戦線は11月、モロッコの軍事作戦開始を受けて停戦終了を宣言。両者の間で緊張感が高まっていた。(c)AFP