足立朝日

十四中出身の中村克選手パンパシフィック水泳で活躍 9月のアジア大会にも出場 9月のアジア大会にも出場

掲載:2014年9月5日号
 日本最多7個の金メダルに沸いた競泳のパンパシフィック選手権(8月21日~24日/オーストラリア・ゴールドコースト)。最終競技の男子400mメドレーリレーは、大会新記録で優勝したアメリカと0・13秒差の大接戦の末、日本は見事銀メダルを獲得した。人々を熱狂させたそのアンカーを務めたのが、第十四中出身の中村克選手(20/早稲田大)だ。

 中村選手はアメリカや3位のオーストラリアにも引けを取らない泳ぎで、順位を守りぬいた。「アンカーに決まった時には緊張したが、レース前はワクワクして、いい形で楽しむことができた」と充実感を語る。
 50m自由形7位、400mリレー4位、100m自由形では49秒の壁を破り自己ベストの48秒96で6位を獲得、自信をつけた。「大会の雰囲気がすごくいい。今まで
にないほど、集中できた。純粋に水泳を楽しむことが余裕につながった」
 日本代表のAチーム入りするのは、今回が初。昨年の東京国体で100m自由形2位、200mフリーリレー優勝。北島康介選手と同チームで戦ったメドレーリレーは逆転して優勝に貢献するなど、自由形短距離のホープとして力をつけてきた。パンパシフィックは経験と成長の場になったが、外国人の選手との力の差も実感。「骨格と泳ぎが違うので、技術とスタミナで勝つしかない。自分らしい泳ぎを見つけていきたい」
 水泳を始めたのは中1。「小学校の時からプールの授業が好きで、みんなよりも泳げていた。水がすごく好きで、早く泳ぎたいという気持ちがあった」。スイミングクラブの選手コースは、通常途中加入はできない。全て断られた中で、当時住んでいた調布のクラブのコーチが拾ってくれた。最初はついていけず、入部を後悔したこともあった。
 中2で足立区に移り住み、東京マリン舎人に入部。自分より早い選手が多く刺激になった。調布と東京マリンのコーチとの出会いがなければ、「今の僕はなかった」。十四中水泳部では3年時にリレーで初の全国大会出場、2位の快挙を遂げた(08年9月20号掲載)
 今は寮生活だが、中学時代からバランスのいい母の食事が体を支えきた。「勝負ごとの前には来て食べる」という、父・昇さん(57)が営む店「厳選もつ酒場 エビス参」(西竹の塚1‐12‐13 TEL5838・2941)も、支えの一つ。店の料理で身も心も戦いに備え、大会後は仲間と息抜きに訪れる。ロンドン五輪銀メダリストの入江陵介選手や瀬戸大也選手も来たそうだ。
 9月19日(金)~10月4日(土)のアジア大会(韓国・仁川)が控える。「しっかり成績を出して、来年の世界選手権で決勝に残る。そして、リオ五輪でオリンピックの雰囲気を味わってみて、東京五輪でメダルを獲れるよう一つひとつ積み重ねていきたい」。武蔵野高校の先輩でもある北京五輪代表の藤野舞子さん(花畑中出身)に続いて、足立区から五輪を目指す。
 「足立区の一員として応援してもらえたら。父の店にも1回来てくれるとうれしいな」。ちゃっかり宣伝かと思いきや、「店の料理が好きなので、みんなに食べてもらえたら」。
 ネットでイケメン選手と話題だ。「普段、言われないので、名前と顔を覚えていただけるならうれしいな」。照れながらも、素直さが爽やかだ。

写真/銀メダルを手にした中村選手。左は、北島選手らと一緒の写真=父・昇さんの店で