〝糸引き〟マフィン騒動 販売店SNSが利用不可に 店主は謝罪、偽情報に注意喚起も

焼き菓子店が販売していたマフィン。口にした人が食中毒のような症状を訴えた(厚生労働省のウェブサイトから 。一部画像を処理しています)
焼き菓子店が販売していたマフィン。口にした人が食中毒のような症状を訴えた(厚生労働省のウェブサイトから 。一部画像を処理しています)

東京都内のイベントに出店していた焼き菓子店が販売したマフィンを食べた人が、嘔吐など食中毒が疑われる症状を相次いで訴えている。問題のマフィンは食品衛生法違反の恐れがあるとしてリコール(回収)対象となったが、リコールのための問い合わせ先になっていた店側のSNSが利用できなくなるなど、混乱が続く。拍車をかけるように、虚偽情報の存在も明らかになった。

マフィンは目黒区の焼き菓子店が製造し、11月11、12日に江東区で開かれたイベント会場で販売された。購入者から「糸を引き、納豆のようなにおいがする」との苦情や、食べた後に嘔吐や腹痛の症状が出たとの声がX(旧ツイッター)上などで相次ぎ、被害が浮き彫りになった。

事態を受け、厚生労働省は食品衛生法違反の恐れがあるとして、9種類約3000個をリコール対象とし、ウェブサイトに情報を公開。危険性が3段階で最も高く、重篤な健康被害を受ける可能性が高い「CLASS(クラス)Ⅰ」と認定した。同クラスへの分類例としては、腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜のほか、毒キノコやフグ毒などがある。

焼き菓子店は、マフィンの回収方法などの連絡窓口として、Xやインスタグラムのアカウントを厚労省サイトに掲載。一方、関係者によると、このアカウントは20日夜ごろから利用できない状態になり、目黒区の保健所が21日、焼き菓子店の店主に対し、アカウントの早急な復旧や再開を要望した。店主は「ネット環境が悪い場所にいる。できるだけ早く対応する」などと回答したという。

22日午前段階で、サイトから各アカウントは削除され、連絡先として新たにメールアドレスが記載された。一連の健康被害問題への謝罪文もネット上で示し、「食品の製造・販売業者としての食品衛生に対する知識、理解及び対策等が不十分であったことを深く反省しております。また、健康被害に遭われた方が一日でも早くご快復されますよう祈念しております」などとつづった。

謝罪文ではさらに、購入者に返金する意向を表明。店舗は現状、閉業中で営業再開の予定はないとした上で、「当店とは無関係な第三者が無断で当店のホームページのようなものを公開しており、あたかも当店が営業中であるかのような表示をしております」と主張。当該サイトのURLを添付し、注意喚起した。サイト内では、店舗の実際の住所やマフィンの写真などが確認できるほか、定休日はなく、1週間いずれも午前10時30分~午後3時30分まで営業などと表示されている。

問題を巡っては、店主側がSNSなどを通じ、自身に向けた殺害予告があり、警察に相談したことなども明かしていた。

目黒区保健所の生活衛生課は、被害を訴えた男女8人について検便をしたり、マフィンの残品の検査をするなどして症状発生の原因特定を進めている。これまでのところ、食中毒につながるような細菌類は確認できていないという。

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