台風でラグビーW杯の試合中止も 東京五輪・パラはどうなる

ラグビーW杯準決勝で観客が集まるスタジアムの売店。東京五輪パラでは食べ物持ち込みを認めるかどうかも1つの焦点となる=26日、日産スタジアム(川口良介撮影)
ラグビーW杯準決勝で観客が集まるスタジアムの売店。東京五輪パラでは食べ物持ち込みを認めるかどうかも1つの焦点となる=26日、日産スタジアム(川口良介撮影)

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会を教訓に、来年開催される東京五輪・パラリンピックの準備が加速している。台風でW杯の試合が中止になったこともあり、五輪・パラの大会組織委員会でも自然災害の対応に向け、W杯関係者から聞き取り、具体的な計画を策定することを決めた。W杯では試合会場への食べ物持ち込みを急遽(きゅうきょ)認めた「柔軟性」を、五輪・パラでも取り入れるかどうかも1つの焦点となりそうだ。

 W杯では台風19号に備えて安全を優先し、12日の2試合の中止を2日前に決めた。過去8回のW杯で中止は初めてだった。五輪・パラの組織委は、台風などによる自然災害を想定しているが、実際にW杯でどのように判断したのか、決定過程をW杯の関係者から直接聞き取ることで、来年の大会に反映させる。

 組織委の中村英正・大会開催統括は「国際オリンピック委員会(IOC)は台風に慣れていないので、組織委から積極的に働きかけていく。ラグビーW杯でのノウハウを聞き、分析していく」と話す。

 実際に9月に実施された五輪のテスト大会では、開催中に台風15号が襲った。日本武道館(東京都千代田区)の空手競技が時間を繰り下げたり、海の森水上競技場(江東区)のカヌースプリント競技が公式練習を中止したりして、対応に追われた。

 組織委によると、他の競技に影響が及ばない形で、日程を前後にずらすことは可能だ。ただ、開会式と閉会式の日程変更は難しい。日程変更は組織委とIOC、それぞれの競技連盟に加え、放送権を持つ業者とも話し合う必要があるという。

 しかし、IOCの憲章には「競技期間は16日を超えてはならない」と規定しており、大会期間そのものの延長は想定されていない。過去大会で、競技を中止した影響でメダリストが決まらなかったケースはない。仮に中止や、無観客で試合が行われたりした場合、チケットの払い戻しについても決まっていない。

 一方で、ラグビーW杯では、当初禁じていたスタジアム内への飲食物の持ち込みを食べ物に限り、大会4日目に認めた経緯がある。

 会場の飲食物は、多額の権利料を払うスポンサーや売店のみ販売できるルール。しかし、W杯開幕直後に、売店に観客が殺到し、早々に物が売りきれる事態となり、不平や不満が噴出した。

 五輪・パラでも競技会場に食べ物を持ち込むことは原則禁止だ。組織委は暑さ対策で、ペットボトルや水筒の持ち込みを許可することを検討しているが、食べ物の持ち込みも可能かどうか検討を始めた。

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