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大チャンスを活かせ!個店を磨きオール敦賀で魅力発信

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商店街名 敦賀市商店街連合会/福井県敦賀市

’23年春の北陸新幹線敦賀駅開業に向け、現在、福井県敦賀市では、魅力ある観光と交流を創出しようと、地域をあげた取組みが行われている。その「おもてなし力」のカギを握るのは、商店街の女性たち。個店を磨き、商店街を自慢できる観光資源に――街が動きはじめた。

「神楽べっぴん会」のメンバー。一番右が会長の中道さん。顔見知り程度だった関係性も、今では強い絆で結ばれている

べっぴん会を皮切りに商店街に変化が訪れる

今、敦賀市はターニングポイントを迎えている。経済面では、中心市街地は郊外化が進み空き店舗も増加。長年の原発依存からの脱却も待ったなしの状況だ。一方、インフラ面では新幹線開業を前に、誘客拡大のため敦賀駅周辺を中心にした大規模工事が進んでいる。こうした環境の変化に対応し、チャンスを活かすべく、商店街が立ち上がった。

’17年、神楽一丁目商店街のおかみさんたち14人が、「神楽べっぴん会」を設立。毎月の朔日市(ついたちいち)やマルシェの運営を皮切りに、歴史ある店同士のコラボレーションなど斬新な企画を次々と実現。保守的な敦賀にあって、元気な女性たちのこの〝企画力〞は目新しく、地元メディアもたびたび取り上げるようになる。同会会長で、中道源蔵茶舗を営む中道尚子さんは、

「新幹線の開通は100年に一度のチャンス。みんなで協力しながら、柔軟で大胆な行動力を武器に街を変えていきたい」と意気込む。

SNSなどのツールを駆使し、仕事終わりに集まっては企画を繰り出すパワフルなべっぴん会の活動に、

「敦賀の男性陣はシャイなところがあるから(笑)、女性ならではの目線とアイデアに期待している」 と、敦賀市商店街連合会会長の増田一司さんも目を細める。

個店のおもてなし力をコト消費の観光コンテンツに
戦後からの店をリノベーションし、新たにカフェを併設した中道源蔵茶舗。以前は常連客の利用が目立ったが、今では観光客や若い世代の来店も多い

変化は商店街の個店にも訪れる。中道さんの店をはじめ老舗4店の若手後継者らが県の補助金を活用し、氣比(けひ)神宮周辺の観光客向けに休憩スペース設置など〝おもてなし力〞を高めるリノベーションを実施。新しい顧客が訪れ始めているという。

こうした商店街に芽吹く活性化の機運を受け、’19年、商店街連合会ではまちゼミを初開催。28店31講座に、延べ500人以上の参加者を集めた。講座を開くことで店主たちは自らの接客方法を改めて見直し、なかには「自店の技術や知識をもっと伝えたい」と再び意欲を高めた高齢の店主も出てきたという。

まちゼミの様子。上)おもや鮮魚店「鯖のさばき方教室」は地元主婦に人気。下)天清酒万寿店の「小豆カイロづくり」

さらに、「着物で街歩きとお抹茶体験」など好評を博した講座が、商工会議所の推薦でJR西日本が推進する福井県内の体験型観光プログラムに選定。外国人にも人気だ。実は、近年敦賀港に海外豪華客船が寄港するなど、外国人観光客の増加も見込まれており、べっぴん会の活動や、まちゼミを通して磨かれる個店のおもてなしは、インバウンド観光で重要視されるコト消費の、強力な武器にもなり得るのだ。

「多くの観光客が見込める今こそ、オール敦賀の取組みが大事。訪れたくなるような個店を増やし、敦賀の歴史や食などと結びつけて回遊性を高められれば、街全体の魅力も高まる」(増田さん)

現在、市や商工会議所、観光協会などから成るコアメンバー連絡会が立ち上がり、まさにオール敦賀で街のグランドデザインが描かれつつある。まちゼミも引き続き開催していく予定だ。こうした街の機運について、商工会議所専務理事の奥井純子さんは、力強く語ってくれた。 「今が大きな変革の時。個店がクオリティーを上げ、それを街全体でバックアップしていきたい。おもてなし力が敦賀の観光資源になるよう、みんなで高めていきます」

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2020 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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