世界初のブラックホール画像に異論 国立天文台、別チームが再解析

EHTチームが発表したM87銀河のブラックホール画像(左、同チーム提供)と、三好真・国立天文台助教らの再解析画像(同氏ら提供)
EHTチームが発表したM87銀河のブラックホール画像(左、同チーム提供)と、三好真・国立天文台助教らの再解析画像(同氏ら提供)

宇宙最大の謎とされるブラックホールの撮影に初めて成功したとして、国立天文台などの国際共同研究チーム「EHT」が2019(平成31)年4月に発表した光のリング状の画像について、同天文台の別の研究者らは30日、データを再解析したところリングにならず、ブラックホールの姿を捉えていないことが分かったと発表した。

観測データが公開されていることから世界中の研究チームが再解析を行っており、これまで海外の複数チームがリングの再現を報告している。EHTは「多くのチームがデータの再解析を行い検証するのは科学の世界で健全なことだ」としながら、「今回の再解析は誤った理解に基づいており、私たちの研究成果に揺るぎはない」とコメントしている。

EHTは17年4月、世界6カ所計8基の電波望遠鏡で、地球から5500万光年離れたM87銀河の超巨大ブラックホールを同時に観測。2年かけてデータを統合し、暗い「穴」の中心を光のリングが取り巻く構造を持ったブラックホールの画像を作成した。

だが、同天文台の三好真助教らの再解析では、EHTがブラックホールだとした部分はリングにならず、複数の輝点が存在するだけの結果となった。

三好助教は「この観測システムには輝点がリング状に見えてしまう『くせ』があり、EHTなどは解析時に配慮していなかったが、きちんと補正すると、この結果になる」と指摘した。

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