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2022.04.22当時としては珍しい、まろやかな父親を目指しました
沖縄・やんばる地域で生まれ育った四兄妹の、1972年の本土復帰からの歩みを描く、笑って泣ける50年の物語「ちむどんどん」。
今回は、東京から来た民俗学者・青柳史彦を演じる戸次重幸さんへのインタビューをお届けします。沖縄を愛し、息子の和彦(田中奏生)に優しいまなざしを注ぐ史彦。戸次さんはどんな思いで演じているのでしょうか。
――戸次さんは、青柳史彦をどんな人物だと思っていますか?
民俗学者として優秀なのですが、頭がよすぎて少しずれているというか。決して身勝手ではないけれど、人づきあいが苦手なタイプなのかなと思っています。じつは、「史彦は妻とあまりうまくいっていない」という設定もあるんです。
ただ、少なくともいい父親ではある。当時はまだ「こうしろ、ああしろ」「俺の言うことが正しいんだ」という"威厳ある父親"が多かったと思いますが、史彦は真逆ですよね。和彦と話すときも、なるべくソフトに、まろやかに、現代的な優しい父親を目指しました。
――たしかに、とても優しいお父さんですよね。
「思ったとおりにすればいい。応援するよ」というセリフがあるくらいですからね。当時は、そんなことを言ってくれる親は珍しかったと思います。まぁ、申し訳なさからくる部分もあるのかな。自分のやりたいことのために、東京にいたかったであろう和彦を巻き込んで、沖縄に連れて来ている面もあると思うので。
やっぱり子どもはかわいいですからね。僕も親だから、ちょっと分かります。たとえば1年間くらい海外で仕事しなきゃいけないことになったら、連れて行ってしまうはず……(笑)。
――和彦は最初こそなじめない様子でしたが、すっかり沖縄が好きになりましたね。
やんばるで暮らすことは、自然とともに生きること。史彦には、比嘉家の子どもたちが理想の環境で育っているように見えていたと思います。都会っ子である和彦が、暢子ちゃん(稲垣来泉)たちに心を開き、やんばるでの暮らしになじんでいったのは、うれしかったでしょうね。史彦自身も「ここで育ちたかった」「和彦がうらやましい」と思っているんじゃないでしょうか(笑)。
――戸次さんご自身は、沖縄にどんな印象を持っていますか? 沖縄ロケにも行かれましたが。
本当にすばらしい土地だと感じます。料理もすばらしいですよね。沖縄出身の仲間由紀恵さん(比嘉優子 役)においしい沖縄そばのお店情報をいただいて、このご時世なので一人で行きましたが、本当においしかったです。
一人といえば、ロケ前半は大人の役者が僕だけという状態でした(笑)。だから、ロケ後半に山路和弘さん(前田善一 役)と大森南朋さん(比嘉賢三 役)が来られたときはうれしかったなぁ。山路さんが出演されているアニメの感想をご本人に熱く語ったり、大森さんとは子育ての話を一緒にしたりして、楽しい時間を過ごさせてもらいました。
――大森さん演じる賢三は、第2週で亡くなってしまいましたね……。
そうなんですよ。比嘉家は本当に大変ですよね……。「ちむどんどん」は優しいお話であると同時に、悲しさや切なさもある作品だと改めて感じています。
天真らんまんで無邪気、絵に描いたような自然児の暢子ちゃん。史彦が招待したレストランで熱心に「おいしいものノート」にメモを取っていた彼女が彼女が、今後どんなふうに生きていくのか、ぜひ見守ってもらえたらうれしいです。