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パナソニック、持ち帰り残業謝罪 自殺社員遺族と和解―富山

2021年12月07日18時02分

パナソニックと和解し、記者会見する自殺した男性社員の妻=7日午後、富山市

パナソニックと和解し、記者会見する自殺した男性社員の妻=7日午後、富山市

 パナソニックの男性社員=当時(43)=が2019年に自殺したのは、「持ち帰り残業」を含む長時間労働があったためと同社が認めて謝罪し、遺族との和解が成立した。同社と遺族の代理人弁護士が7日、明らかにした。労働基準監督署が認定していない時間外労働を、企業が認めるのは異例という。和解は6日付。

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 遺族の代理人弁護士などによると、男性は富山県砺波市の富山工場に勤務していた19年4月、製造部係長から技術部の課長級に昇進。仕事内容が変わって業務量が増加してうつ病を発症し、19年10月に自宅で自殺した。
 同社は当時、午後8時までに退社するよう社員に指示。男性は業務用パソコンを持ち帰っており、死亡前6カ月間の自宅での起動時間は月54~110時間に上った。妻(41)によると、朝4時ごろまで仕事をしていた時もあったという。
 砺波労基署は21年3月、配置転換による強い心理的負荷があったとして、自殺との因果関係を認め労災と認定。持ち帰り残業を含む長時間労働については「上司などからの具体的な指示がなかった」と否定していた。
 同社は、パソコンの利用記録などから過大な残業があったと認め、安全配慮義務を怠ったとして和解に合意した。
 記者会見した男性の妻は「正直ほっとしている」と述べた一方で、「社風や職場の雰囲気も(自殺の)原因の一つではないか」と話し、上司らへの徹底した教育を求めた。
 同社は「再発防止に向けた取り組みを徹底する」とコメントし、パソコンの稼働時間を確認できる仕組みを導入するなどの具体策を示した。

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