当センターにおける新型コロナウイルス変異株のスクリーニング検査結果について(2021年10月12日更新)

  当センターでは、2020年12月からリアルタイムPCRによる新型コロナウイルスの変異株スクリーニング検査を行っています。この検査はアルファ株(B.1.1.7)、ベータ株(B.1.351)、ガンマ(P.1)のスパイク蛋白に共通して現れるN501Y変異、ベータ株、ガンマ株、R.1株に見られるE484K変異デルタ(B.1.617.2)に現れるL452R変異の有無を見ています。 

 国立感染症研究所では、国内の変異株についてアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ株を「懸念すべき変異株」(VOC)、それ以外の特徴的な変異を持つ株を「注意すべき変異株」(VOI)と分類しています。

新型コロナウイルス変異株と遺伝子変異部位の関係表 出典:・第43回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年7月14日)資料

 

当センターにおける都内変異株スクリーニングの検査結果

  当センターで行った変異株スクリーニング検査では、2021年3月以降約半数近くを占めていたE484K変異を持つR.1株(グラフ緑色)に代わり、4月からN501Y変異を持つアルファ株(グラフ青色)が急増し、陽性検体の多くを占めていましたが、6月からは L452R変異を持つデルタ株(グラフ赤色)の割合が増加し続け、8月末からはこの型が検出された変異株のほぼ全てを占めていました。9月の下旬に入ると陽性検体数が減少し、10月に入る頃にはスクリーニング検査を行う検体が週1件になりました。

健安研におけるゲノム解析等による都内の変異株の発生状況(モニタリング会議資料抜粋)(PDF:533KB)東京iCDCにおける変異株スクリーニング検査について)より

 また、当センターでは次世代シーケンサーを使用した新型コロナウイルスの全領域遺伝子解析を併せて実施しており、新たな変異株の出現にも柔軟に対応できる体制を整えています。

参考:東京都で検出された新型コロナウイルス の全ゲノム解析結果について(2021年9月更新)

新しい変異株の分類について(WHO,CDC)

 世界規模で新型コロナウイルスの変異株の種類が増加し感染地域も変化しています。病原性、感染性、ワクチンおよび治療法の効果等の観点から、危険性について様々な機関がVOC(懸念される変異株)、VOI(注目すべき変異株)等のクラス分けを行っています。

 世界保健機構(WHO)より2021年9月22日に上記の分類について更新する旨の発表がありました(2021年9月22日)。その主な内容を下の表にまとめました。    VOCとVOIの下にVUMというカテゴリーを設け、旧VOIとされていたイプシロン、カッパ、イオタ、イータの5種をここに含め、ゼータ、シータ株は指定を解除されました。VUMカテゴリーは基本的にギリシャ文字のラベルは割り当てられませんが、以前のVOC/VOIについてはVUMへのカテゴリー変更後も長期間監視される可能性があるため、現時点ではこれらの株に割り当てられていたギリシャ文字は追って連絡があるまで維持とされました。Naming SARS-CoV-2 variants updated on 7 October 2021. )

また、CDC(米国)も9月23日に新しい変異株の分類と定義を発表し、VOCをデルタ株のみとし、VOIは該当なし、またアメリカ国内で流行している10種の変異株を新たにVariant Being Monitored(VBM)とし、アルファ(B.1.1.7、Q.1-Q.8)、ベータ(B.1.351、B.1.351.2、B.1.351.3)、ガンマ(P.1、P.1.1、P.1.2)、イプシロン(B.1.427およびB.1.429)、イータ(B.1.525)、イオタ(B.1.526)、カッパ(B.1.617.1)、B.1.617.3、ミュー(B.1.621、B.1.621.1)ゼータ(P.2)を指定しました。

これらの変異株の重要度の見直しは、VOCがほぼデルタ株のみに収束しつつある状況を鑑みた措置とも思われます。

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