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「優勝したときの若いファンの笑顔が見たい」。２５年ぶりのセ・リーグ優勝を目前にした広島カープの黄金期に、多くの選手のヘアを手がけた理容店「ヘアーサロン十日市」（広島市中区）の店主、広瀬光人さん（７５）は、リーグ優勝の感動を６度にわたって味わってきた。前回の優勝を知らない若いファンとも喜びを分かち合いたいと、期待に胸を膨らませている。
「いつか、カープの選手の髪を手がけたい」と昭和４０年に理容店を開いた。初めて訪れたのは、巨人から移籍した深沢修一選手。「希望も聞かず、勝手に」パンチパーマをかけた。手入れが簡単でかっこいい髪形だと自信を持ってすすめられると確信していたからだ。カープ伝統のパンチパーマの始まりだった。
気に入った深沢選手からの紹介もあり、選手や球団関係者が訪れるように。顧客には、山本浩二、衣笠祥雄、古葉竹識（たけし）、高橋慶彦、前田智徳、金本知憲、新井貴浩ら、カープを支えてきた選手、監督が並ぶ。
昨年の開店５０周年には、山本元監督をはじめ、カープＯＢが駆け付けた。深く信用された理由は「いちファンとしてきちんと線引きして付き合ったから」。親しくなっても頼み事をすることは控えてきた。
客の多くが熱狂的なカープファン。若い常連客とも「いつ優勝を決めるか」といった会話が弾む。
１１日は広瀬さんの７６歳の誕生日。「誕生日に優勝が決まったらすごいね」。店には祝杯用のたる酒を用意し、優勝の瞬間を心待ちにしている。