<東京2020→21>聖火、富士山麓にゴール 静岡県東部8市町17.4キロ巡り

2021年6月26日 07時39分

聖火をともしたトーチを掲げて走る武田博知さん=伊東市で

 東京五輪の県内の聖火リレーは最終日の二十五日、自転車競技会場になっている県東部を巡った。八市町約一七・四キロで火をつなぎ、富士宮市の富士山本宮浅間大社にゴール。三日間の日程を終えた。(山中正義、渡辺陽太郎、佐野周平)
 午前八時半ごろ、伊東市の道の駅「伊東マリンタウン」で小野達也・伊東市長らが出席して出発式を開催。伊東商業高校吹奏楽部の演奏などが繰り広げられ、第一走者がスタートした。
 市内では約二・五キロの区間をランナー十三人が、それぞれの思いを胸にトーチを掲げて走った。沿道では感染防止対策を取った家族連れや園児らが手を振るなどして応援する姿が見られた。
 伊東駅前で聖火を引き継いだ武田博知さん(72)=沼津市=は、中学生だった一九六四年に開催された前回の東京五輪の聖火リレーでランナーの伴走を務めた。「先輩が走る姿を見てかっこいいと思った。絶対持って走りたいと思った」。半世紀以上をへて夢をかなえ、沿道の観覧者に手を振りながら堂々とした走りを見せた。
 聖火は、下田市では下田港に面した市街地を走行。伊豆の国市では、保存修理中の世界遺産韮山反射炉から伊豆箱根鉄道韮山駅近くの公園までつないだ。
 午後には、トラック競技が行われる伊豆市、ロードレースなどが予定される裾野市、御殿場市、小山町を進んだ。
 御殿場市内では一時、強い雨が降ったが、リレー開始時には上がった。スタートとトーチキス両方が楽しめる秩父宮記念公園(同市東田中)周辺には多くの人が集まった。同市の無職女性(85)は「一生に一度のこと。いい写真も撮れてよかった」と笑顔だった。
 一方、密の場面も。スポンサーの車両が通過し、スタッフが観衆の目の前まで来て応援グッズを配布すると、観衆が集まって手を伸ばしていた。危険を感じたボランティアが「下がって」と何度も注意していた。
 富士山本宮浅間大社に着いたのは日没後で、最終走者は東京パラリンピックで出場が内定している走り幅跳びの山本篤選手。到着を祝うセレモニーが行われ、トーチから聖火皿に点火されると、拍手が巻き起こった。聖火は次のリレー開催地、山梨県へ引き継がれる。

世界遺産に登録され、現在保存修理工事中の韮山反射炉を背に走る聖火ランナー=伊豆の国市で


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