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「安楽死」求めた仏男性死亡 スイスで自殺ほう助受ける

2021年06月16日16時27分

 【パリ時事】不治の病を抱え、薬物投与による「積極的安楽死」を認めるようフランスのマクロン大統領に訴えるも却下されたアラン・コック氏(58)が15日、スイスで「自殺ほう助」を受け、死亡した。親族がAFP通信に明らかにした。希望する最期を国外に求めたコック氏の姿は、「死ぬ権利」をめぐる議論を改めて巻き起こしそうだ。
 コック氏は生前、マクロン氏と国会議員らに宛てた公開書簡を支援者に託し、「スイスでの自殺ほう助手続きによる尊厳のある私の死をここにお知らせする」と記していた。スイスでは、医師が用意した致死薬を患者自身が服用する「自殺ほう助」が容認されている。
 フランスの現行法では、積極的安楽死や自殺ほう助は禁止されている。一方、耐えがたい苦痛を抱え、回復の見込みがなく余命が短い場合にのみ、患者の希望に基づいて鎮痛剤で苦痛を取り除きつつ延命治療を停止する「消極的安楽死」は容認される。
 仏メディアによれば、コック氏は23歳の時、血管の壁が徐々に失われる難病であることが分かった。意識ははっきりしていたが、完全に寝たきりの生活を送っていた。
 コック氏は昨年7月、フェイスブックで大統領宛ての書簡を公開。「激しい痛み」があり、「積極的な薬物投与による尊厳のある人生の終わり」を希望すると直訴した。
 しかし訴えは受け入れられなかった。「余命が短い」と診断されていないため、消極的安楽死の対象にもならなかった。その後、コック氏は栄養と水分の補給装置を一時停止して抗議し、関心を集めた。

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