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 国民的アイドルグループ「SMAP」が、年内いっぱいで解散することになった。今年1月、グループを下積み時代から支えたマネジャーが辞任し、メンバー5人のうち4人が、所属するジャニーズ事務所と独立を協議していることが表面化。その後5人そろってテレビ番組に生出演し、グループの存続を表明したが、メンバー間の亀裂は修復できないまま、騒動から7カ月で決裂した。

 SMAPのメンバーは、中居正広さん(43)、木村拓哉さん(43)、稲垣吾郎さん(42)、草彅剛(くさなぎつよし)さん(42)、香取慎吾さん(39)。1988年にグループを結成し、91年にCDデビュー。芸能界の第一線を走り続けてきた。14日未明に公表された解散の知らせは、国内外のファンや関係者に衝撃を与えた。

 14日、お盆休みでにぎわう東京・原宿のジャニーズ関連グッズ販売店には大勢のファンが訪れた。

 デビュー当初からのファンという札幌市の会社員女性(46)は「解散騒動は落ち着いたと思っていた。5人がそろっていることが大事なのに」。茨城県土浦市の主婦(41)は「ショックだ。本人たちより所属事務所の中の問題という感じがして気の毒」と嘆く。

 SMAPは昨年11月から、2020年の東京パラリンピック大会を支援する「日本財団パラリンピックサポートセンター」の応援サポーターを務めていた。だが、解散発表を受けて活動は終了するという。同センターの担当者は「事務所側と協議を続けてきたが本当に残念」と話す。

 テレビ各局への影響も大きい。1996年からの長寿番組「SMAP×SMAP」を制作するフジテレビは「15日の番組は予定通り放送するが、その後は未定」。ある民放関係者は「1月の騒動以降、メンバー間の関係は明らかに悪化していたが、まさか解散とは。スポンサーとの調整も大変だ」と明かす。

「戦後最大のトップアイドル」

 なぜ、ここまで注目される存在であり続けたのか。

 音楽評論家の湯浅学さんはSMAPを「分業システムでアイドルグループを売り出した先駆的な存在」と位置づける。バラエティー、ドラマ、司会と、単独で出てもグループの存在を引き上げた。「人気が高まった90年代はバブル崩壊後。国民にあった寂しい部分を埋めたのがSMAP。統一感がなくバラバラだけど一つという、メンバーの関係性の妙も日本人の感性に合っていた」。放送作家の山田美保子さんは「成長する姿が共感を呼んだ。90年代に歌番組が激減する中、バラエティー番組進出や実力派ミュージシャンから楽曲の提供を受けたことなどが奏功した」とする。

 SMAPを「戦後最大のトップアイドル」とする評論家の中森明夫さんは、「テレビで滑稽さや弱みを見せた。以前のアイドルでは考えられなかった」と説明。「高度成長期に求められた大スターと違い、SMAPは停滞感がある時代を生きる上でモデルになった。ナンバーワンでなくていい、という『世界に一つだけの花』はその象徴だ」

 しかし、長年担当したマネジャーが1月に事務所を去ると、メンバー間の亀裂は広がった。ドラマ評論家の成馬零一(なりまれいいち)さんは「ファンの思い入れも強く、解散のタイミングは難しかった。圧倒的な存在なのに、もっときれいに終われなかったのかと残念だ」と話した。