本県 茶産出額1位陥落 リーフ消費拡大急務 19年生葉 逆転許す

 産出額ベースでは2019年に首位から陥落していた―。農林水産省が12日発表した19年茶産出額で、本県は長年守っていた日本一の座を鹿児島県に明け渡した。本県関係者は「荒茶生産量ではなく金額ベースで先に追い越されてしまった。特徴ある茶づくりで、静岡茶ブランドを高めていくしかない」とショックを受けた様子だった。

山あいの茶園で一番茶を摘採する生産者。傾斜地のため、大型機械の導入が難しい=2020年4月末、静岡市葵区松野
山あいの茶園で一番茶を摘採する生産者。傾斜地のため、大型機械の導入が難しい=2020年4月末、静岡市葵区松野


 「この年は減産と価格低迷が顕著だった。生産者所得向上のためには、(リーフ茶の)消費拡大がまったなしの状況だ」。県お茶振興課の小林栄人課長は危機感を強める。
 19年は、荒茶ベースでは本県の生産がトップを維持したものの、気象要因などもあって生葉ベースでは本県12万9300トン、鹿児島は13万7300トンと逆転されていた。
 本県産は、乗用の大型摘採機の導入などが難しい山の斜面や肥沃(ひよく)な台地での茶づくりが特徴。手間のかかる分、取引価格の高い一番茶の生産比率が高いが、リーフ茶需要の低迷で、供給量が減少しているにもかかわらず、相場も下降基調が続く。
 JA静岡経済連の真田泰伸茶業部長は「効率化できるほ場は基盤整備を進めて生産性を高めなければならないが、静岡は品質をより重視した茶づくりが生命線だ」と言葉に力を込める。
 大規模化した茶園で生産量でも本県を猛追する鹿児島に対し、県茶業会議所の伊藤智尚専務理事は「山間部などで生産される静岡茶の価値向上が課題だ」と指摘。「消費者に伝わる付加価値を発信しなければならない。静岡茶の再生に向けて業界を挙げて、消費拡大に取り組んでいきたい」と語った。
 (経済部・牧野めぐみ)

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