パナマが台湾と断交 中国と国交樹立

中国は近年、パナマへの投資を活発化させていた
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中国は近年、パナマへの投資を活発化させていた

中米パナマは12日夜、中国との国交を樹立したと発表した。これを受けて台湾とは断交する。パナマ政府は「一つの中国」政策を支持し、台湾が中国の一部だと認めると表明した。

一方、台湾は「怒りと遺憾の意」を表明し、パナマが「弱いものいじめをしている」と非難した。

パナマは、台湾から中国に外交関係を移行していなかった数少ない国の一つだった。

2016年12月には西アフリカの島国サントメ・プリンシペが同様に、台湾との国交を断絶している。台湾と外交関係のある国は現在わずか20カ国。

中国は近年、パナマへの投資を活発化させていた。パナマには中国経済にとって非常に重要なパナマ運河がある。

台湾の外交部(外務省に相当)は声明で、パナマが「北京当局の経済的利害に屈した」と非難した。

声明はさらに、パナマが両国間の「長年にわたる友好関係を無視した」とし、台湾は「北京当局の金銭による外交と競争することはしない」と述べた。

台湾の蔡英文総統は、昨年6月に就任後初の外遊先としてパナマを訪問していた。

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蔡総統(写真左)は、昨年6月に就任後初の外遊先としてパナマを訪問し、フアン・カルロス・バレラ大統領(同右)と会談している

パナマ政府による発表後、中国の国営メディアは両国の外相が北京で外交関係樹立の文書に署名し、乾杯する様子を撮影した写真を報じた。

中国外務省は声明で、パナマ政府の決定を「中国政府と国民は高く評価し暖かく歓迎する」と述べた。

1971年には国連が中国の加盟を認め、台湾は脱退。中国が経済的影響力を高めるなか、世界の大半の国は中国との国交樹立を選んだ。

現在台湾を支持する国は、小さな島嶼(とうしょ)国か中南米の国で、中国との経済関係がいまだ緊密でない地域にある。

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パナマ運河を通過する中国のコンテナ船

中国が経済的かつ政治的大国として急速に台頭するなか、各国の外交関係を台湾から移行させるのは中国にとってより容易になっている。

台湾外交部はサントメ・プリンシペが国交を断絶した際、同国が多額の経済援助を要求したと非難した。

パナマは今回の決定の理由を説明していないが、同国の中国との経済協力関係は近年緊密になっていた。

中国企業がパナマで港湾開発を行っているほか、中国の国営企業はパナマ運河周辺の開発予定地の入札参加に関心を示している。

パナマ運河は国際物流の要であり、中国が「一帯一路」政策の下で欧州につながる広域経済圏構想を推進するなか、南米と米国両方の東海岸へのアクセスが重要性を増すとみられている。