北朝鮮 日本海に向けて飛しょう体2発を発射 韓国軍

北朝鮮 日本海に向けて飛しょう体2発を発射 韓国軍
韓国軍は、北朝鮮が2日午後、東部のウォンサン(元山)付近から日本海に向けて飛しょう体2発を発射したと発表しました。北朝鮮が飛しょう体を発射するのは、去年11月以来で、ことしに入ってからは初めてです。
韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が2日午後0時37分ごろ、東部のウォンサン付近から日本海に向けて飛しょう体2発を発射したと発表しました。

また、飛行距離はおよそ240キロ、高度はおよそ35キロだとしていて米韓両軍がさらに詳しい分析を進めています。

北朝鮮は去年10月に、東部のウォンサン沖からおよそ3年ぶりにSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを発射するなど、去年は5月から11月にかけて13回にわたって飛しょう体を発射しましたが、ことしに入ってからは初めてです。

北朝鮮の国営メディアは、29日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が、朝鮮人民軍の合同打撃訓練を視察し、いつ命令が下されても直ちに戦闘に入れる態勢を整えている部隊を評価したと伝えています。

また、キム委員長は去年末、核実験とICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を中止した約束を見直す可能性を示唆し、「遠からず、新たな戦略兵器を目撃することになるだろう」と述べていて、再び発射に踏み切って、強硬な姿勢や技術力の向上を強調することで、アメリカから譲歩を引き出すねらいがあるとみられます。

さらにアメリカで大統領選挙に向けた動きが活発になる中で、朝鮮半島情勢に対する関心を改めて高めたい思惑もありそうです。

北のミサイル発射は去年11月以来

北朝鮮は去年5月から11月にかけて、短距離弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルなどの発射を繰り返しました。

去年5月4日には、東部ウォンサン付近から日本海に向けて2発発射したあと、5日後の5月9日にも北西部から2発発射し、防衛省はいずれも短距離弾道ミサイルと分析しています。

その後、7月から8月にかけても東部や南西部などから短距離弾道ミサイルなどを相次いで発射し、9月10日には西部のピョンアン南道から短距離弾道ミサイルを発射しました。

さらに、10月2日には、東部ウォンサン沖から弾道ミサイルを発射して、日本のEEZ=排他的経済水域内に落下し、北朝鮮の国営メディアは、翌日、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル「北極星3型」の発射実験に成功したと発表しました。

そして、11月28日には、夕方の時間帯に東部のハムギョン南道リョンポ付近から日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射しました。

韓国軍の関係者によりますと、このとき2発の発射の間隔はおよそ30秒で、以前の発射と比べて間隔が短くなっていることから、北朝鮮が連射能力の向上をはかっているという見方が出ていました。

ことしに入ってからは、これまでミサイルの発射はありませんでした。

政府“排他的経済水域への飛来確認されず”

日本政府は、北朝鮮が2日昼すぎ、飛しょう体を発射したと発表しました。

日本の領域やEEZ=排他的経済水域への飛来は確認されておらず、現時点で、付近を航行する航空機や船舶への被害の報告はないということです。

政府は「昨今の北朝鮮による弾道ミサイル等のたび重なる発射は、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析および警戒監視に全力をあげていく」としています。