最終節で柏に敗れ、PO進出を逃したサンガ。戦術の浸透は道半ばだった(24日、三協フロンテア柏スタジアム)

最終節で柏に敗れ、PO進出を逃したサンガ。戦術の浸透は道半ばだった(24日、三協フロンテア柏スタジアム)

【図解】サンガの順位推移

【図解】サンガの順位推移

 11月24日のサッカーJ2今季最終節。柏の優勝報告セレモニーに沸くアウェーで、京都サンガのベテランDF安藤が言葉を振り絞った。「チームの完成度が違った。自分たちの力のなさを感じた」。一時は首位を争った相手に、1―13の記録的な大敗。過去最低の19位に沈んだ昨季から、今季8位に上昇したが、3季連続でJ1参入プレーオフ(PO)には届かなかった。
 確固たるスタイルを築けなかった昨季から一転、今季就任した中田監督は「面白いと思ってもらえるサッカーをしたい」と、ボールを保持して細かくパスをつなぐ戦術を志向した。
 キャンプ時から毎週のように、狭いエリアで少人数のゲーム形式の練習を重ね、パスの練度と連係を上げた。ロングボールを主体とするチームが多いJ2で、試合のボール保持率やパス数はトップクラスとなった。シーズン前半は10勝7分け4敗で折り返し、22~24節には首位に浮上。選手からは「優勝を狙える」との手応えも聞かれた。
 ところが、夏以降、勢いに陰りが見え出す。対戦が一巡した相手に最終ラインからの組み立てを狙われ、ミスやカウンターから失点が続いた。
 特にアウェーは、消極的なパスが目立つようになった。8月の水戸戦で今季初めて3失点で完敗。小屋松は「(新しい戦術で)1年目のチームという弱さが出てしまった」。敵地で8月以降、4連敗を含め、2勝7敗と苦しんだ。10月の新潟戦は、前日の現地到着後に全員で体を動かすなどルーティンに変化をつけたが、好転しなかった。柏との最終戦も最初の失点はカウンターからだった。
 中田監督は「相手に対策されている中、こちらも変化しなければならない」と布陣変更も試みた。第30節で自動昇格圏(2位以内)から落ちると、次節から慣れた4バックを3バックに変更。攻撃の組み立てや守備の安定を模索し、前線を狙うロングボールも増やした。ただ、再浮上はならず、5試合後に再び4バックに戻した。中盤の金久保は「つなぐスタイルをぶれずに続けるか、違うやり方で勝ち点3を取りにいくかで葛藤があった」と明かす。
 シーズン折り返しで自動昇格圏にいながらPO進出すら逃したのは、POが導入された過去8年で2012年の山形と昨年の山口だけ。快進撃から一転、終盤の停滞を打破できないまま終幕した。
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 サンガは設立25周年の節目をJ1昇格で飾れず、府立京都スタジアム(京都府亀岡市)にホームを移す来季もJ2で迎える。失速した背景を探った。3回掲載します。