東京大学安田講堂

 東京大学大学院情報学環に所属する特定短時間勤務・有期雇用教職員が、SNSなどによって特定個人、あるいは特定の国やその国籍をもつ人々に対して、極めて不適切な書き込みを行った事実が判明しました。

 本部局の設立から一貫して関わってきた一教員として、まずは心からお詫び申し上げます。

 ちなみに「特定短時間勤務・有期雇用教職員」という職名を巡ってもネット上に様々な意見が出回っているようですが、単なる呼称に過ぎず、何の他意もないものです。

「内閣総理大臣」を「首相」とも略称するのと同様で、単なる呼称にすぎません。

 まず冒頭に、問題になったツイートの例を引用しておきます。

「そもそも中国人って時点で面接に呼びません。書類で落とします」

 目を疑いました。

「資本主義の文脈において、パフォーマンスの低い労働者は差別されて然るべきです」

 さらに

「歴史は雑学だと思って切り捨てたんだわ。ごめんな」

「なんか日本語通じない下級国民のパヨクが沸いてるなー」

「まあ実際に上級国民ですからね。しょうがないですね」などというものも目にしました。本学教員にありうべからざる「低見識」で、言葉も
ありません。

 当該青年は私たちの部局で、特任人事によって採用したもので、今年の4月に着任しています。その人事教授会に出席した一人として、あまりのことに言葉もありません。

 一大学教員として、率直にお詫び申し上げます。

 秋になって大手出版社から新書を公刊し、「そのPRを含めて過激な言動をネット上で意図的に繰り返していたのでは?」といった観測も、ネット上で目にしました。

 真偽のほどは分かりませんが、国立大学法人の情報部署に所属する教員は、仮に誤解であっても、そのような嫌疑を不特定多数に抱かれることは避けるよう、本来なら初任者研修において厳重に指導されるはずであり、問題外と言わねばなりません。

 以下では、この問題を巡って、3つの観点から、明確なポイントを記したいと思います。

 第一は、この問題の性質そのものについて

 第二は、このようなヘイトが発生した背景となる、人材育成に関するポイントについて

 第三は、このような仕儀とは正反対の方向を向く、東京大学としての取り組みについて

 小職の記せる範囲において、明確にご説明申し上げたいと思います。