JR北陸線の普通電車。新幹線が開業する5年後からは第三セクターが運営する=5月、福井県福井市栄町のJR森田駅

 2023年春の北陸新幹線敦賀開業後、JR西日本から経営分離される福井県内区間の並行在来線(現北陸線)について、西川一誠知事は6月27日の県議会一般質問で、運行を引き継ぐ第三セクターの経営計画を検討する過程で、えちぜん鉄道、福井鉄道との経営統合に関する課題を沿線自治体などと協議し、整理する考えを明らかにした。経営計画は19年度にも策定される予定。井ノ部航太議員(希望ふくい)への答弁。

 えち鉄は、行政などが出資する三セクで、国と県、沿線市町の支援で運行に専念している。民間の福鉄も、えち鉄と同じく行政支援を受けている。こうした状況を踏まえ井ノ部議員は「行政が支援する並行在来線とえち鉄、福鉄の三つの鉄道会社が存続することが地域のためになるのか、検証が必要」と指摘した。

 これに対し、西川知事は3社が経営統合した場合の長短を説明した。メリットとして「総務部門や保守部門の効率化、資材の一括購入によるコスト削減などが期待される」ことを説明した。

 一方でJRとえち鉄、福鉄の運賃や社員の賃金に差があるため、「運賃、賃金水準の統一化は、収益減や経費増を招きかねない部分がある」とした。例えば、運賃水準を最も低い会社に合わせると全体の収益が減り、逆に賃金水準を高い会社に合わせると経費が増す。全体の収益が減った場合、運行の必要経費に充てるための「沿線市町の負担の問題が生じる」という、難しい側面があると指摘した。その上で「並行在来線の経営計画を検討する過程で、こうした課題をさらに明らかにする必要がある。えち鉄や福鉄、沿線市町と十分協議し、この問題の解決に当たりたい」とした。

 並行在来線の利便性向上と新たな利用者確保に向けた方策に関しては、豊北欽一総合政策部長が快速列車の運行や新駅の設置に取り組む姿勢を強調。18日付でJR西社員2人が県に派遣されたことを明らかにし「2人の見地を生かし、利便性の高い運行計画を検討していく」と述べた。

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