神奈川県・パシフィコ横浜国立大ホールにて12日、『機動戦士ガンダム』シリーズの世界と音楽が融合したライブイベント「ガンダム LIVE EXPO ~ジオンの世紀~」が開催された。

同イベントは、TVアニメ『機動戦士ガンダムUC』原作者の福井晴敏氏と『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』脚本の隅沢克之氏が構成を手がけた、ライブ・朗読・トークで『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』から『機動戦士ガンダムUC』にいたる"宇宙世紀"の物語を紡ぐエンターテインメントショー。朗読は、キャラクターたちが劇中で描かれた当時の心境を振り返る形式となっており、ファンにとってはそれぞれのキャラクターたちの深意を知る貴重な機会となった。本稿では、『機動戦士ガンダム 0083』から『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』までの第2部についてレポートする。

第2部も、ミネバ・ザビ(CV.藤村歩)による独白からスタートした。語られるのは一年戦争後の世界。この戦争が宇宙移民者・スペースノイドの権利闘争という側面ももっていたことから、地球連邦側はより地球優先の政策を取るようになり、スペースノイドの実力者の中にはジオンに共感する者が現れる。そんな時代の趨勢がデラーズ・フリートの「星の屑作戦」の背景にあったとミネバは語る。

続いて語り手となったのは、『機動戦士ガンダム 0083』に登場する、かつてジオンのエースパイロットとして活躍し、"ソロモンの悪夢"の異名をとるアナベル・ガトー少佐。忠誠を誓っていたドズル・ザビの死を知り、味方の退路を切り開くために戦った戦いぶりから、その名で呼ばれるに至った経緯が語られた。そしてエギーユ・デラーズとの出会い、「星の屑作戦」への突入、さらに「ソロモンよ私は帰ってきた!」の名台詞で知られる連邦軍の観艦式急襲までの心情が語られる。そこから会場では、主題歌であるMIQの「MEN OF DESTINY」が披露された。

そして『機動戦士ガンダムZ』の回では、最終回のカミーユ・ビダンとパプテマス・シロッコの対決シーンを放映。カミーユを演じた飛田展男の朗読(収録)で、肉体の世界から精神の世界へ旅立ってしまったカミーユが、肉体の縛りから解き放たれる一方で、「(肉体があることからくる)恐れと不安と悲しみがあったからこそ、喜びもまた存在したのだと思い出せる」と語る。誤解や喪失の苦しみから逃れたいがために付け込まれてしまった自身の結末を「人としては悲しいことだったと今ははっきり言える」と断言し、「今はもう帰ったほうがいい、バナージ・リンクス君」「君の役目はまだ終わっていない」と『機動戦士ガンダムUC』バナージへ思いを託したところで、歌手の森口博子が登場。『機動戦士ガンダムZ』主題歌「水の星へ愛をこめて」を歌唱した。

続く『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、シャア(CV.池田秀一)が登場。父であるジオン・ズム・ダイクンとの違いを強調しながらも、シャア・ダイクンと名乗ったことについて「嘘と本当が半々という意味では、そのころの自分にふさわしい名前か」と触れ、「そのシャア・ダイクンが何をしたのか、あらためて語るまでもない」と、小惑星アクシズの落下を画策した自身を述懐する。

映像が切り替わると、池田秀一が今度は『機動戦士ガンダムUC』のフル・フロンタルとなり、シャアへと語りかける。その独白が終わったところでAimerが登場し、「RE:I AM」と「StarRingChild」を歌い上げ、「今日はこうしてこの場所で、また『ユニコーン』の曲たちを歌えてうれしく思っています」とコメントした。

再び現れたミネバは、「ラプラス事変」を終え、宇宙世紀の始まりから100年を目前につかの間訪れた平和を感じながらも、争いの予兆に不安が拭えない。争いを乗り越えるヒントを求め、「もう一度耳を澄ましてみよう」と呼びかけ、舞台は遡り『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の時代へと戻る。

壇上にはセイラ・マスを演じた声優の潘めぐみが登場。本格化した一年戦争によって変わっていく世界、そして否応なく変わっていく自分のことを語る。一方のシャア(CV.池田秀一)は、ザビ家への復讐にいたる通過点として一年戦争に臨む心情を吐露し、「出航しろドレン艦長、我々の前には無限に広がる空が待ち構えている」と力強く呼びかけ、第2部が終了した。

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