ゆいレールで知られる沖縄都市モノレール(那覇市、美里義雅社長)の那覇市と浦添市を結ぶ約4・1㌔㍍の延伸区間が10月1日にいよいよ開業する。記者は、13日にあった報道関係者向けの試乗会に参加した。個性豊かな新4駅(石嶺駅、経塚駅、浦添前田駅、てだこ浦西駅)や、延伸区間を走るモノレール車窓から見える街並みを一足先に体験してきた。


 モノレールは首里駅を出発し延長区間に入った。約1分ほどで石嶺駅が見えてくると、沖縄の童歌「ちょんちょんキジムナー」の軽快なメロディーが車内に流れ到着を知らせる。住宅街や団地などがひしめき、学校も見える。駅舎は多くの柱が屋根を支え合う立体トラスト構造を取り入れ、石嶺地域の人たちの支え合い、結束する姿を表現しているという。


 石嶺駅を後にし、浦添市に入ると経塚駅が出迎えてくれる。ステーションカラーは首里城の「赤」から、「紫」に変わっていた。琉球の礎を築いたとされる舜天・英祖・察度の「三大王統」を象徴し、高貴なイメージに合わせて紫にしたとのこと。


 経塚駅の近くには琉球王朝時代に創作された沖縄版オペラとも言える「組踊」の祖・玉城朝薫の墓がある。駅舎には親のあだ討ちをテーマにした組踊の人気演目「二童敵討」をモチーフにしたアートガラスが展示されている。また、駅のメロディーは「二童敵討」で演奏される「はべら節」が流れ到着を知らせる。また、駅名の書かれた案内版は浦添の特産品「うらそえ織り」をイメージしたデザインも取り入れた。
 玉城朝薫の墓を眼下に眺めながら、モノレールは浦添前田駅へと向かう。車窓からは浦添市内の街並みや、那覇市街も見渡せる。天気が良ければ遠く慶良間諸島も一望できるという。駅舎は浦添城跡の麓にあり、明るい「めでたい節」が流れる中、乗客を迎えてくれる。


 また、駅舎の外壁には浦添城跡の一帯の尾根をガラスと半透明のすりガラスで表現。平家に敗れ沖縄に流れ着いた源為朝が岩の上から矢を放ったという伝説もある「為朝岩」も描かれている。


 延伸区間もいよいよ終点の「てだこ浦西駅」が見えてきた。前田駅との高低差は約40㍍。地下トンネルを通る唯一の区間だ。その長さは約600㍍もある。トンネルを抜けると大きな駅舎が近づいてくる。


 那覇・浦添と中北部を結ぶ交通の結節点として期待の高まる同駅周辺では、商業施設やホテルなどの建設に向けた整備が進んでいる。駅のメロディーには、戦後の沖縄復興を後押しした名曲「ヒヤミカチ節」を採用し、新たな町の発展や躍動への願い込めた。


 沖縄都市モノレールが延伸し、新たな交通網の形成されることへ多くの県民が期待を寄せる。通勤・通学の利用だけでなく、駅舎を巡る旅も新たな沖縄観光の楽しみとなりそうだ。
 終点のてだこ浦西駅の駅舎の先には線路が一部延びていた。浦添市から次の町をつなぐ日もそう遠くないかもしれない。(政経部・仲本大地)