北朝鮮発射の飛しょう体 “最大330キロ飛行” 韓国軍発表

北朝鮮発射の飛しょう体 “最大330キロ飛行” 韓国軍発表
韓国軍は、北朝鮮が10日午前、西部のピョンアン南道から飛しょう体を2発発射し、最大で330キロ飛行したと発表しました。飛しょう体の種類については明らかになっておらず、アメリカと分析を続けています。
韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が10日午前6時53分ごろと午前7時12分ごろ、西部のピョンアン(平安)南道ケチョン(价川)周辺から東の方向に飛しょう体を2発発射し、最大でおよそ330キロ飛行したと発表しました。

ただ飛しょう体の種類や高度などについて、韓国軍の合同参謀本部は10日午前の記者会見で「アメリカと共に分析を進めている」と説明していて、発射されたのが弾道ミサイルだったのかどうかなど詳細は明らかになっていません。

また韓国大統領府はNSC=国家安全保障会議を開いて、対応を協議し、北朝鮮の行為に対して強い憂慮を表明しました。

北朝鮮はことし7月25日以降、短距離弾道ミサイルとみられる飛しょう体の発射を繰り返していて、およそ1か月半の間にこれで8度目となり、ミサイル技術の向上をはかり、アメリカをけん制する狙いがあると見られます。

一方で、北朝鮮外務省でアメリカとの交渉を担当するチェ・ソニ第1次官は9日夜、発表した談話で、非核化をめぐる米朝の実務協議を今月下旬にも再開することに意欲を示しました。

北朝鮮としてはその直後に発射を強行することで、アメリカに揺さぶりをかけ、出方を見極めようという思惑もありそうです。

官房長官「詳細は分析中」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「わが国の領域や排他的経済水域への弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点でわが国の安全保障に影響を与えるような事態は確認されていない。付近を航行する航空機や船舶への被害報告も確認されていない」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「関係省庁局長級会議を開催するとともに、北朝鮮情勢に関する官邸対策室で、関係省庁からの情報を集約しており、詳細は現在、分析中だ。引き続き、米国などと緊密に連携し、情報の収集、分析に全力をあげていきたい」と述べました。

また記者団が「韓国側との情報のやり取りはあったのか」と質問したのに対し、菅官房長官は、「一連の発射事案を含む北朝鮮情勢をめぐっては、日韓の間で緊密な意思疎通を行っている。朝鮮半島の非核化に向けて、引き続き、必要な情報交換を含め、しっかりと連携していきたい」と述べました。

防衛相「日韓の安全保障は新体制に期待」

岩屋防衛大臣は、閣議のあとの記者会見で、「北朝鮮は、きょう午前7時前後に2回の発射を行い、いずれも北朝鮮の西部から、東に向かって発射したとみられる。さらなる内容については、分析が必要だ」と述べました。

そのうえで、韓国が、日韓のGSOMIA=軍事情報包括保護協定の破棄を決定したことについて「GSOMIAが生きているかぎり、適切に対応していきたい。外交上は、さまざまな問題を日韓の間で抱えているが、安全保障に関しては連携・協力はできるようになるのが望ましく、新しい大臣をはじめ、政府の新体制で取り組んでいただけると考えている」述べました。

外相「緊張緩和に役割を」

河野外務大臣は閣議のあとの記者会見で「北朝鮮の中で、どういうメカニズムで意思決定されているのか、なかなか分かりにくいが、北東アジアの安全保障環境は好転しているとは言えないどころか、相当、今後も緊迫することも予想される。米朝プロセスを後押しし、緊張緩和や信頼醸成に日本としてもしっかりと役割を果たしていかなければいけない」と述べました。