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生き方は「ライダーから学んだ」=DA PUMPのISSAが語る仮面ライダー愛

2019年07月31日08時00分

2008年には足に大けがをしたが、見事に復帰。「よし、これで半分改造人間になれたと思いました」と話すISSA=東京都渋谷区の事務所

 昨年「U.S.A」の大ヒットで再ブレークを果たしたダンス&ボーカルグループのDA PUMP。リーダーを務めるISSAが「劇場版 仮面ライダージオウ Over~Quartzer」(公開中)にゲスト出演し、悪のライダー「バールクス」に変身する謎の男を怪演している。大のライダーファンで、「大げさかもしれないけれど、生きていて良かった、この仕事をやり続けてきて良かったと思った」と喜ぶ。

ISSA「涙が出た」、変身シーンも=DA PUMP、劇場版「仮面ライダージオウ」に出演


 「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系で放映中)は、2000年からスタートした平成仮面ライダーシリーズの20作目で最後の作品。将来、最低最悪の魔王になると予言された少年ソウゴが、時空を旅して過去の平成ライダーの力を手に入れ、宿命に立ち向かおうとする。

 製作・配給元の東映によると、テレビ版とは異なる完結編。ISSAは「歴史の管理者」を名乗る組織「クォーツァー」のリーダー役だ。

 バールクスは、ISSAいわく「ジオウのテレビシリーズで起きたすべての出来事を牛耳っている」存在。「全部、俺がかっさらってるじゃんと。もう、うそ~んって感じ」とおどける。

 デザインのモチーフはISSAが子供時代に親しんだ仮面ライダーBLACK RX。昭和から平成をまたいで放映された作品で、平成と令和をつなぐ今回の作品にはぴったりのチョイスと言える。

ISSAが変身する悪のライダー「バールクス」(左)は、すさまじいパワーでジオウを圧倒する (C)2019 劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EМ・東映AG・東映


 変身ポーズも踏襲したが、「劇中では1回しか変身しないので、どうやったら印象に残るだろうと考えた。撮影中もずっと変身ポーズの練習ばかりしていた」。変身前の演技は、初期ライダーのショッカー幹部、特に死神(しにがみ)博士を意識したという。

 1971年の放送開始以来、50年近い歴史を持つ仮面ライダーシリーズとの出合いは、小学校時代にさかのぼる。その魅力にはまったのは、シリーズの原点への興味で見た仮面ライダー1号、2号編だったという。

 「改造された悲しみを持ちながら人類のために戦う男像に、人間の表と裏のようなものを感じた。原作者の石ノ森章太郎イズムが投影されている。ずっとシリーズは続いているけれど、1号、2号編に勝てる作品はないと思う」

 幼い頃からモトクロス競技に親しんでいたISSAにとって、「オートバイに乗ったヒーロー」は何よりも格好良く、作品全体に流れる怪奇性にも引かれたという。

「シリアスからバラエティーまで何でもできるldquo;お化け感rdquo;がDA PUMPの強み」と言うISSA=東京都渋谷区の事務所

 ウルトラマンなどの巨大ヒーローに比べ、等身大のライダーは「ひょっとしたらいるかもしれない」と思わせる現実感が魅力だという。「大人になっても『いてほしい』という気持ちがどこかにある。同じ夢を持つ人はたくさんいるだろうし、だからこそ今も続いている。今回の映画には令和初のライダー『ゼロワン』も登場し、新たな時代への橋渡しができているなと思います」

◇ヒールの美学を感じた

 安室奈美恵やSPEEDを輩出した沖縄アクターズスクール出身。1997年にDA PUMPの一員としてメジャーデビューし、「if...」などのヒットを飛ばした。不振も経験したが、「一人でも聞いてくれる人がいる限り、歌って踊り続けたい」との思いが変わることはなかったという。

 「(仮面ライダー1号となる)本郷猛は(改造された)切なさや怒り、悲しみを抱えながら、それを他人に見せることなく、たった1人で人類の平和のために戦う。子供ながらに『素晴らしい』と思ったし、(その生きざまは)知らず知らずのうちに自分の中にも根付いた。どんなにつらいことがあっても、本番になったら笑顔で何かを伝えなければならない。この思いは、仮面ライダーから学んだものかもしれません」

 今回悪のライダーを演じ、「ヒールの美学を感じた。病みつきになりそう」と言うISSA。「次はヒーロー役で?」と水を向けると「ここまで来ると、もうヒールでいいのかなと。悪が格好いいからこそ、ヒーローが輝く。そんなレベルまで持っていけたら」。

ISSAが「ナチュラルに演じられた」と言う謎の組織「クォーツァー」のリーダー(左) (C)2019 劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EМ・東映AG・東映


 もし将来、企画に携われるとしたら、原点に戻り、世界に散ったかつてのライダーが日本に帰ってくる作品を作りたいという。

 これまでにもソロシンガーとして「仮面ライダー555」の主題歌や「ジオウ」のテレビ版主題歌(AAAの末吉秀太とのコラボレーション)を担当。今回の映画にはDA PUMPの他のメンバーも出演し、グループで主題歌「P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~」(エイベックス、CDは8月7日発売)も歌っている。

 10月からは3カ月間にわたるDA PUMPのライブツアーがスタート。「これは外せないという往年の曲に、昨年の『U.S.A』など今の自分たちが色濃く出るような曲もふんだんに取り入れたい」。目指すのは「今の7人でやっていることを100%出せるステージ」。今回の映画で見せた存在感抜群の悪役以上の迫力で楽しませてくれそうだ。

(時事通信社編集委員・小菅昭彦)

  ◇  ◇

 ISSA 1978年12月9日生まれ、沖縄県出身。DA PUMPではボーカルを担当。グループ以外にソロシンガーとしても活動する。俳優としてもビデオ映画「極道十勇士」などに主演。ミュージカル作品にも積極的に取り組み、「ピーター・パン」のフック船長などを演じている。

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