油脂の中で最も安価なパーム油は、ケーキ、ポテトチップス、シリアルなど、多くの商品に使われています。
しかし、パーム油は森林破壊などの問題を引き起こし、健康にも悪いと唱える人もいます。
パーム油は禁止すべきなのか?
それが今、議論の的になっています。
90年代以降、大量に消費されてきたパーム油は、不可欠なものなのでしょうか?
ベルギーにあるこの工場は、クロワッサンやビスケットに使われるマーガリンを生産していますが、常温でも唯一固形の状態を保つパーム油は、主要な材料になっています。
工場責任者 フィリップ・テイリーさん
「このように滑らかにするために、パーム油は不可欠です。
ビスケットやケーキがしっとり仕上がります。
他の油脂ではこうはなりません。」
他の油脂より15%ほど安いのも魅力です。
パーム油は世界で最も消費される重宝な植物油ですが、その代償は大きいのでしょうか?
この実を絞り、パーム油を作ります。
そのために、インドネシアでは各地で森林の破壊が行われています。
仏 グリーンピース クレマン・セネシャルさん
「大規模なプランテーションのため、何ヘクタールもの広大な土地が必要です。
問題なのは、その熱帯雨林には、絶滅が危惧されるオランウータンをはじめ、地上に生息する8割以上の種類の生物がいるということです。」
一部のメーカーは、この事実を認め、厳しい規定の元に持続可能な形で生産されたパーム油のみの使用にこだわっています。
森林保全協会 ロール・グレグワールさん
「原生林の破壊はありません。
労働者の賃金もきちんと支払われ、児童労働などは行われていません。
野生動物たちは保護されており、殺虫剤の使用はなるべく避けています。」
もしパーム油の輸入を禁止したら、その代わりはあるのでしょうか?
最近の報告では、菜種油など他の油脂を代わりに生産することになれば、森林破壊の悪化につながりかねないというのです。
専門家 ヤン・ローランスさん
「パーム油には、栽培面積に対する生産量がとても多いというメリットがあります。
つまり、他の植物の栽培に転換することになれば、より多くの栽培面積が必要になります。」
フランスでは、輸入する油脂の80%以上がバイオ燃料として利用されているため、環境保全の支持者たちは、パーム油の利用を食用のみに制限すべきだとも訴えています。