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 中国の対ウイグル族政策に批判的な記事を書いたフランス週刊誌の女性記者が、年末の査証(ビザ)更新に必要な記者証の発給を中国外務省に拒否され、事実上の国外退去となることが25日、わかった。この記者が朝日新聞などに明らかにした。

 記者証発給を拒否されたのは、北京駐在の仏誌「ル・ヌーベル・オプセルバトゥール」のウルスラ・ゴーティエ記者。11月にウェブサイトに配信した記事で、新疆ウイグル自治区で中国政府当局と衝突事件が起きる原因は、少数民族への抑圧政策があるとし、パリの同時多発テロとは性質が違うなどと指摘していた。

 ゴーティエ記者によると、中国外務省は、記事は誤りだったと公に謝罪しない限り、記者証を更新しないと通告してきたという。

 中国外務省の陸慷報道局長は26日、談話を発表し、同記者が「テロのお先棒を担ぐような間違った言論について中国の民衆に謝罪しようとせず、引き続き中国で仕事をするのはふさわしくない」と批判。「中国は外国人記者が取材する合法的な権利を保障するが、テロを助長するような自由は決して認めない」とした。

 中国メディアや中国外務省報道官は記事配信後に、ゴーティエ記者を名指しで批判。中国駐在の外国人記者らでつくる駐華外国記者協会(FCCC)が、個人攻撃を受けていると非難する声明を出していた。(北京=倉重奈苗)