オーバルのダートコースでは、4WDの介入が最も多くなる「スポーツモード」を選択してからアクセルオン。時速60キロでカーブに進入して思いっきりハンドルを切ると、グラベル(砂利)を蹴散らしながらドリフト走行が始まる。(ハンドルを進行方向と逆側に切る)カウンターステアを当てながらクルマを制御するといった非日常的なスリルが楽しめるのも、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」のおかげだ。前後・左右輪への巧みなトルク配分により安定したグリップ感と操安性をもたらし、筆者のテクニック不足を見事にカバーしているのだ。システム制御がないまま限界を超えればスピンだってしかねず、こうした技術がドライバーの安心・安全を支え、楽しさをもたらしているという事実を、ダートやモーグル坂路といった非日常シーンで限界を試すことで実感できたのだ。
燃費と走りを両立したHV
次に乗ったHVモデルは2.5リッターのパワフルなエンジンに加え、絶妙なモーターアシストで低速域から気持ちの良い加速感が得られた。HV用の電気式4WDシステム「E-Four」はトルクの立ち上がりが早く、機械式の四駆にありがちなタイムラグを解消できるというメリットがある。細かいアクセル操作にも瞬時に反応するので、上り坂や凹凸の多いオフロード走行に向いているとも感じた。HVといえば燃費に意識が行きがちだが、ガソリン車を上回る燃費性能と222PSのシステム最高出力がもたらす動力性能により、二律背反する「燃費の良さ」と「走り」の両立を実現しているのだ。
車重の重さがゆったり上質な乗り味をもたらすHVに対し、キビキビと軽快な走りを披露するガソリン車。個人的な好みは、エンジンとの1対1の対話を通して回したり音を聞くといった機械的な楽しさがあり、ダイレクト感のあるギヤ機構付CVTを搭載するガソリン車だ。
内装はセンターコンソール周りをシンプルにまとめており、3つの大型トレーを配置するなどの気配りが感じられた。ソフトなシートは座り心地がよく、高いアイポイントは見晴らし良好。ボンネットの端がさりげなく見えるなど車両感覚もつかみやすいが、後方ピラーが分厚いため背後の確認には難があった。大きな居住スペースに加え、荷室容量はクラストップレベルの580リットルを誇るなど使い勝手の良さは一目瞭然だ。