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新しくなった! 『ひよっこ2』タイトルバック解説

『ひよっこ2』のタイトルバック、見ていただけましたか?ミニチュア写真家・田中達也さんと映像監督・森江康太さんをはじめ、連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバック制作と同じスタッフが再集結。今回も気合いを入れて作りました。
豪華な仕上がりになった新しいタイトルバック。撮影ウラ話やシーンのポイントなどを交えてご紹介します。

早速、漫画家がそろって登場!

番組ロゴが入っているオープニングのシーン。『ひよっこ2』の“2”の文字を貼っている人に見覚えがありませんか?あかね荘に住む漫画家・啓輔です。反対側には相方の祐二の姿も。登場人物がCGでたくさん出てくるのも今回のタイトルバックの大きな特徴。そんなところにまでいるの!?というくらい細部に渡っていろんな人が潜んでいるので探してみてください。

「ハッシュ ワン!」という声が聞こえてきそう!

次はなんと、「すずふり亭」。テーブルに見立てたのは王冠。テーブルクロスの形をすずふり亭と同じにし、厨房は、すずふり亭に並んでいたマッチを使って表現しています。厨房にはコック姿の省吾さん、元治さん、ヒデさんが3人揃って働いています。みね子もフロアで料理を運び、鈴子さんと由香の姿も見えますね。

  • ▲絵コンテ

  • ▲撮影風景

月面着陸や日本初のパンダ来日も。

『ひよっこ2』と同じ時代のニュースも盛り込んでいます。みかんを月面に見立てた月面着陸のシーンで後ろに置いてあるテレビは、谷田部家の居間にあったもの。家族写真も飾ってあります。
上野動物園のシーンでは、1972年に日本に初来日したカンカンとランランと思われる2匹のパンダの姿も見えますね。人や動物はすべてCGで作られていて、この場面に置いてある小物類は、お菓子に関係あるもので統一されています。

▲絵コンテ

  • ▲撮影風景

ヒデさんの手を引くみね子。

『ひよっこ』のタイトルバックにもあった夜の街に見立てたガラス瓶のシーン。『ひよっこ』では、集団就職で上京したみね子が一人で歩いていましたが、『ひよっこ2』ではヒデさんの手を引いて楽しそうにくるくると回るみね子の姿が。幸せそうなふたりに思わず微笑んでしまいます。

大阪万博のシーンにはウラ話がひとつ。

1970年に開催された大阪万博のシーンでは、ソーセージを“太陽の塔”に見立てました。万博全体を食品サンプルで表現しているのですが、この中に一つだけサンプルではない本物の食べ物が隠れています。何か分かりますか?実際に、近くで見てもわからないくらいどれも本物そっくりなのですが…正解は、なんとチキンライス。皿にピッタリ合うように盛り付けたかったので、調理したライスを使ったそうです。

  • ▲絵コンテ

  • ▲食品サンプル

とうとう谷田部家まで登場!

ラストのシーンは奥茨城の谷田部家。田中達也さんのアシスタントさんが、そっくりに作ったものだとか。実さんが大切に育てたポットマムの花畑はカラフルな糸で見立て、遠くに写る山々や地面や道は全て、衣装さんがもってきた洋服を並べたもの。かなりたくさんの洋服を机によじのぼって並べる森江さん。
このシーンでは谷田部家のみんなが登場しています。宗男さんがバイクで走ってくる道はセーターの袖で作りました。

  • ▲撮影風景

同じカットはひとつもないんです。

『ひよっこ』タイトルバックと同じシーンもよ〜く見てくださいね。以前と変わっている部分がたくさんあるんです。今回も、人の動きをデジタル的に記録してコンピューターに取り込む“モーションキャプチャ”で人や動物などを動かしています。

奥茨城のバスが新しくなりました。

『ひよっこ』のタイトルバックにもあった、奥茨城を走るバスは、ドラマと同じように車掌のいないワンマンバスに変わりました。このシーンでも登場人物の姿がたくさん見えますね。全員わかりますか?

時計に注目

『ひよっこ』のタイトルバックにもあった、昼と夜の時間経過があるこのシーン。時計にご注目ください。『ひよっこ2』のオンエア時間に合わせて、7時半を指しているんです。

そろばんから電卓へと進化。

『ひよっこ』で団地に見立てたそろばん。『ひよっこ2』では団地は電卓に。アナログからデジタルへという時代の流れも表現しています。カメラの角度や速度も前タイトルバックと合うように、前の映像と重ね合わせて、向きや角度を細かく調整する森江さんと田中さん。

  • ▲『ひよっこ2』電卓

  • ▲『ひよっこ』そろばん

愛がこもった遊び心いっぱいの『ひよっこ2』タイトルバック、実は、ご紹介した以外にもたくさんの登場人物が潜んでいるのですが…見つけられた方、かなりの“ひよっこ通”です!

制作者からのメッセージ

ミニチュア写真家・見立て作家 田中達也さん

  • 『ひよっこ』は絶対続編があると思っていたので『ひよっこ2』のお話をきいたとき、「やはりきたか!」と(笑)。せっかくなら是非タイトルバックも変えたいと思いました。
    『ひよっこ2』が2年後の話ということで、その2年間に世の中で起こった大阪万博や月面着陸。ひよっこの世界の中で暮らす人々の日常や風景などを見立てで表現しています。前回のひよっこのオープニングより更にドラマに沿った内容になっていると思います。

<プロフィール>
ミニチュア写真家・見立て作家。日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」をインターネット上で発表し続け、国内だけにとどまらず海外からも注目を集めている。写真集「MINIATURE LIFE」、「MINIATURE LIFE2」、「Small Wonders」発売中。Instagramのフォロワーは190万人を超える。(2019年2月現在)「MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界」が国内外で開催中。

映像監督・CGアニメーター 森江康太さん

  • 『ひよっこ2』のお話を聞いたときは、またあのメンバーでもう一度作品を作れる!と思い、とても嬉しかったです。『ひよっこ』よりも更に良いものに出来たらと思い制作に打ち込みました。
    どのカットにも何かしらの「遊び」を盛り込んであります。
    特に主要な出演者の方はほぼすべて、どこかしらにミニチュアで登場し、更にミニチュアアーティストの田中さんもこっそりいます!
    何度見ても飽きない映像に仕上げましたので、是非楽しんでください!

<プロフィール>
映像監督、CGアニメーター。ミュージックビデオ、テレビCM、アニメーション作品など、多種多様な3DCGディレクションで注目を集める。連続テレビ小説「半分、青い。」でも、ヒロインの名づけのきっかけとなるスズメをCGで制作し話題を呼んだ。

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