ルーシーさん事件の判決要旨/東京高裁

2008/12/16 17:26

 

 会社役員織原城二被告(56)に対し、英国人ルーシー・ブラックマンさん=当時(21)=の死体遺棄・損壊に関与したと認めた16日の東京高裁判決の要旨は次の通り。(ルーシーさん関連の事実認定部分以外は略)

 【死体損壊、遺棄】

 (1)証拠によれば次の事実が認められる。

 (1)被告は2000年7月3日夕、偽名でルーシーさんの友人に電話し、ルーシーさんが自ら失踪(しっそう)したかのような偽装工作を試みている(2)4日、東京都内でセメント等を買いそろえ、5日、空き家のリゾートマンションに慌ただしく入室、室内でセメントを使った何かの作業をした(3)その夜来た警察官への対応からみると、その作業は警察に知られたくないようなものだった(4)ルーシーさん失踪報道後の15日ごろリゾートマンション付近に赴き、遺体が発見された洞窟(どうくつ)付近に姿を現した(5)ルーシーさんの遺体が入っていた樹脂袋やごみ袋、袋に付いていた粘着テープ、頭部を包んでいたセメント、樹脂袋の下に埋められていたナイロン製袋は被告が入手または所持していた品と同じか類似していた。

 (2)これらの事実によれば、被告が5日夜リゾートマンションに入室、室内でルーシーさんの頭部を包んだセメントに関連する作業をし、7日ごろまでに遺体を洞窟に遺棄したと認められる。

 被告が生前のルーシーさんと行動を共にし、ルーシーさんが逗子マリーナのマンション室内で死亡した経緯から、遺体を損壊したのも被告と考えられ、4日夜から7日ごろまでの間に電動チェーンソーなどを使用して遺体を損壊したものと認められる。

 損壊場所はリゾートマンションの可能性が高いが、同室または神奈川県内もしくはその周辺という以上は特定できない。

 【わいせつ誘拐、準強姦致死】

 検察官は、被告がルーシーさんに薬物を混入した飲み物を飲ませ、クロロホルムを吸引させるなどして心神を喪失させて乱暴し、薬物作用に基づく心停止または呼吸停止などにより死亡させたと主張する。

 解剖結果によれば、ルーシーさんは生前睡眠導入剤フルニトラゼパムを摂取していた。被告は当時同剤を手元に所持、1日にルーシーさんと逗子マリーナに向かった際も携帯していた可能性が高い。

 逗子マリーナのマンション室内に誘い入れた他の被害者に、薬物を混ぜた飲み物を飲ませるなどして準強姦に及ぶ犯行を繰り返していたことからすれば、被告はルーシーさんと同室内に入った後、フルニトラゼパムを摂取させたと認められる。

 しかし解剖、検査結果等を総合してもルーシーさんの死因は特定できず、クロロホルム等を使ったと認定することや、これによりルーシーさんが心神喪失状態に陥り、被告がルーシーさんを乱暴したと断定はできない。

 わいせつ誘拐については、被告はルーシーさんを誘い出した当初から薬物を使うなどして準強姦をする目的があったと認められ、証明十分である。

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