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“最後の叩き上げ政治家”森山裕が、若い記者に頭を悩ませる理由

元「参院のドン」候補 ©共同通信社

 自民党の二階俊博幹事長が昨年末に入院した際、後継のダークホースとして密かに名前が挙がった一人が森山𥙿国会対策委員長(73)だ。

 出身地は鹿児島県鹿屋市。中選挙区時代には、田中角栄元首相の側近だった二階堂進元副総裁、税調のドンと呼ばれた山中貞則元通産相を輩出した土地柄だ。中学卒業後、働きながら県立鶴丸高校の夜間課程に通った後、23歳で中古車販売業を立ち上げ、30歳で鹿児島市議に。政治部記者は「党内では今や絶滅危惧種となった、典型的な叩き上げ政治家」と語る。

 37歳で市議会議長に就任。その後5期、通算7年にわたって議長を続けたことは、党人政治家としての力量を物語る。国対委員長として立憲民主党の辻元清美国対委員長らと対峙する森山氏の口癖は「市議時代に比べると、野党との駆け引きなんて楽なもんですよ」。

 1998年、53歳で参院議員になると、当時参院幹事長だった青木幹雄氏に認められ順調に出世。だが2004年、山中氏の死去による衆院鹿児島5区補選で、地元から請われ衆院議員に転じた。この時、参院のドンになっていた青木氏が「私の後継者にしようと思っていたのに」と烈火のごとく怒ったのは今でも語りぐさだ。