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    高崎山群れごと去る、園はピーナツ誘導作戦…「餌場」争い登場サル半減

    • サルが現れず閑散とした寄せ場(11月29日)
      サルが現れず閑散とした寄せ場(11月29日)
    • 寄せ場で餌に群がるC群のサルたち(2017年1月)
      寄せ場で餌に群がるC群のサルたち(2017年1月)

     野生のニホンザルの餌付けで知られる大分市の高崎山自然動物園で、餌を与える「寄せ場」に現れるサルが半減している。姿を見せていた群れが、別の群れとの勢力争いに敗れ、山に引きこもったのが原因とみられる。サルを見られない時間帯が増え、来園者は減少。危機感を募らせる園は、山奥から群れを誘導する作戦を始めた。

    ◆来園3万5000人減

     11月末の朝、寄せ場は静まり返っていた。「夏に生まれた子ザルが見られると思ったのに」。初めて訪れた福岡市西区の女性(50)は残念そうに話した。

     寄せ場にやって来るサルはB群(約640頭)とC群(約590頭)に分かれ、長年、午前にC群、午後にB群が集まる「高崎山ルール」があった。だが、C群のサルが来ない日が増え、9月は計22日に上った。11月は計2日しか現れなかった。

     C群には人気が高い子ザル「シャーロット」や「ピコ」も所属。お目当てのサルに会えないことが増えて来園者は減少し、4~11月は前年同期比約3万5000人減の約16万2000人にまで落ち込んだ。2017年度の収入約2億2000万円のうち、入園料と駐車料が約2億円を占めており、園は頭を抱える。

    ◆移籍で弱体化

     園では、C群が来なくなった背景に、群れの弱体化があるとみている。

     C群は約15年にわたって最大勢力だったが、16年にボスザルを含め序列上位の雄が雌を追いかけ、相次いでB群に移籍して勢力が逆転。山に食べ物が少なくなる冬場を中心に、午前中からB群が寄せ場に居座ることが多くなり、C群のサルが追い返される光景も目撃されている。

     それでも、春になってB群が午前中に姿を見せなくなると、C群はやって来ていた。それが、今春以降、現れる頻度が激減。園の担当者は「B群がいつ来るか分からない不安が大きいのでは」と分析する。

    ◆職員奮闘久々に姿

     園は状況を打開するため、餌としている飼料用のサツマイモを今夏、甘みが強いブランドイモ「紅はるか」に変更。連続して姿を見せる日もあったが、長くは続かなかったという。

     11月からは、職員が山奥のC群のすみかまで約1時間かけて向かい、寄せ場まで誘導する作戦を開始した。早朝、「オーイ、オーイ」と呼びかけながらピーナツやイモをまき、おびき寄せようとしたが、何度も失敗。ようやく今月7日、寄せ場まで誘導した。C群が来たのは27日ぶりだった。

     同11日にも寄せ場に姿を見せており、効果は出始めているが、ガイドの下村忠俊さん(45)は「山にこもる日が増えれば、田畑を荒らす懸念も出てくる」と話し、さらなる改善策を検討するとしている。

    2018年12月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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