(1)業務執行理事
業務執行理事は、法人法の機関ではありませんが、代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって業務を執行する理事として選定された者をいいます(法人法91、197)。業務の執行とは、法人の何らかの事務を行うということではなく、法人の目的である具体的事業活動に関与することを意味します。つまり、業務執行理事以外の理事の業務執行権を定款で内部的に制限するものといえます(FAQ)。このように業務執行理事は、会社法上の役付取締役と同様になると考えられます。このことから、副会長、専務及び常務である業務執行理事は、平理事より高度の監視義務があるといえます。また、表見代表理事として責任を負う場合がありますので権限と責任について明確な基準を設けることが必要です(法人法82、197)。
(2)いわゆる平理事
平理事とは、通称名ですが業務執行権のない理事をいいます。新制度上で理事会を設置しない場合は、それぞれの理事が法人を代表します(法人法77)。但し、代表理事を選定する場合は、代表理事が、法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有することになります(法人法77、197、整備法77)。平理事は、会社法上の取締役と同様に法人と委任関係にあります。このことから、受任者である理事は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負うことになります(民法644)。つまり、定款に従って、社員総会、評議員会及び理事会での決定事項を遵守し、忠実に職務を遂行しなければなりません(法人法82、197)。
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