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読売新聞│配信日:2018年5月28日│配信テーマ:Jポップ  その他  

西城秀樹さん死去 「YMCA」 時代を象徴(評伝)


 昨年11月、西城さんにインタビューした。脳梗塞(こうそく)の後遺症か、言葉が出にくそうだったが、NHK紅白歌合戦の思い出やリハビリに励んでいることを一生懸命に話していた。かつて激しいアクションをつけて歌っていたが、背が高いので、カメラのフレームに「入りきれていなかったね」と笑わせてくれた。
 1970〜80年代、テレビの歌番組が人気だった頃、西城さんは派手な衣装や振り付けで視聴者を楽しませた。マイクスタンドを振り回す「薔薇(ばら)の鎖」や「ローラ」と絶叫する「傷だらけのローラ」などで鮮烈な印象を残した。「YOUNG MAN」のおなじみの「YMCA」ポーズなど、こぞってマネをしたものだ。ピンク・レディーらとともに「テレビで見せる音楽」の時代を象徴した歌手だった。
 「新御三家」として芸能界を盛り上げたが、彼らのヒット曲は、橋幸夫さんら元祖「御三家」の日本的な叙情性に満ちたヒット曲とは異なり、ぐっと海外のポップスに近づいていた。現代のJポップにつながる流れを作ったと言える。西城さんはとりわけロック色が強く、豊かな声量で絶唱。歌のうまさ、迫力は際立っていた。
 脳梗塞に襲われた後も、必死にステージに上がり続けた。昨年のステージでもつらそうではあったが、「YMCA」のポーズも見せた。かつて取材に対し「僕の姿を見て頑張れる人がいるなら、それだけで歌う意味がある」と語っていた。見る人に勇気を与え続けた、本当のスターだった。(文化部 桜井学)

読売新聞2018年5月18日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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