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 大阪北部を震源とする地震で、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)では18日、屋上の貯水タンクが破損し、病棟が水浸しになった。停電して非常用電源が作動したが、一時的に電気の供給が不安定な状態になり、患者ら40人を救急車などで近くの病院に搬送した。重症患者が集まる大阪府内の中心的な病院で、終日混乱が続いた。

 同センターは午後4時半ごろ、報道陣に対応した。地震によって屋上にあった貯水タンク2基のうち1基が破損。10階建ての病棟内に水が入り、下の階に向かって、水浸しになっていった。最大で水深3センチほどになったという。

 停電も起きたため、非常用電源に切り替わった。だが、原因ははっきりしないものの、電源供給が不安定な状態が続いた。このため、透析患者や、人工呼吸器や補助人工心臓が必要な重症患者ら、優先度が高い順に、他の病院へ搬送を決めた。電源は午前11時10分ごろに復旧したが、安全確保のため、赤ちゃん8人を含む計40人を搬送した。

 一時、非常用電源が水没したという情報があったが、宮下克巳総務部長は「非常灯もつき、人工呼吸器とか生命維持管理装置には影響なかった」などと否定した。

 このほか、入院患者4人が転倒するなどして軽傷を負った。前日は452人が入院していたが、このうち154人が本人の希望で退院したという。水浸しがひどかった9~10階は閉鎖。病院は19日まで、外来や手術を原則中止することを決めた。センターは2019年夏に全面移転を予定していて、建物は築40年を超えるという。

 センターでは一日中、救急車の出入りが絶えず、自衛隊の給水車も駆けつけた。救急車がセンターの前に列をつくり、保育器に入った小さな子どもや車いすの患者らが、次々と別の病院に搬送されていった。急に退院することになった患者も多く、迎えの家族の車で混雑した。暗い院内のロビーで心配そうにニュースを見る患者の姿も多かった。

 7階に入院していた大阪府枚方市の女性(59)は「病院から『退院してもいい』と伝えられ、予定より数日早く退院することにした」と話した。強い横揺れでテレビ台にあった洗面用具や手鏡が床に落ちた後、病室に水がたまってきたという。病室を移動し、昼には非常食が配られたという。

 厚生労働省によると、高槻赤十字病院(高槻市)や市立東大阪医療センター(東大阪市)でもエレベーターが停止。そのほか、医療ガスや職員の不足、高架水槽の破損など計13病院で被害が報告されている。