煉瓦亭「元祖オムライス」 - 伝説の店 -
2012/01/17
時代を築いた看板メニュー 伝説の店 この一皿
独自のオムライスを生んだ、洋食の歴史的名店
銀座「煉瓦亭」は明治28年創業の洋食屋。当初はフランス料理を出していたが、肉類や油ものを食べ慣れない日本人の舌に合わせて、カツレツやオムライスやエビフライなど、いわゆる「洋食」のルーツとなる様々なメニューを提供してきた。
元祖オムライスが生まれたのは明治33年頃で、もともとはオムレツの材料とご飯を混ぜて作った賄い食だったのだが、次第に常連客が注文するようになり、卵の鮮やかな彩りが受けて、女性や子供にも人気の一品に。それから今日まで当時と変わらないレシピで作られる、同店の看板メニューのひとつだ。三代目オーナーの木田明利氏は語る。「大切にしているのは、やはりきちんと真面目な品物を出すこと。素材は新鮮さが命ですから、卵も毎朝新しい物を届けてもらっています」。銀座という場所柄、昔から映画や出版など、マスコミ関係の客が多く、ヨーロッパの食文化の話など、知らないことを随分教わったという。
「小津安二郎さんや池波正太郎さんなどには、長年通っていただき、まるで仲間のように意見を言って下さいました。そうやってお客様と共に店を作ってきたという感じです」と、木田氏。創業百十余年の歴史を誇る、まさしく伝説の名にふさわしい名店と言えるだろう。