プロ野球「春季キャンプ」が宮崎に与えた貢献

2018年の12球団のキャンプ動向を探る<上>

宮崎市観光協会は、3キャンプ地のコラボグッズも販売している。キャンプオリジナルグッズを中心に、球団グッズの売り上げも好調だ。老舗だけあって、宮崎市のキャンプは、ビジネスモデルが明確で、オペレーションもスムーズだ。これが球団にとっても大きなメリットになっている。

今年2月、広島カープの一軍キャンプの最寄り駅、宮崎県日南市のJR油津(あぶらつ)駅を訪れた客は度肝を抜かれたに違いない。駅舎が丸ごと真っ赤に塗られていたからだ。

真っ赤に塗られた油津駅(筆者撮影)

さらに、商店街からキャンプ地の天福球場に続く道には、レッドカーペットよろしく、赤い塗装が敷かれている。これを「カープ一本道」という。球場前の横断歩道はまるで紅白幕のようになっている。

「駅舎の塗装はJR九州さんと地元有志でやりましたが、” カープ一本道”は市でやりました。うちは地元を挙げてカープを応援しています」と日南市観光・スポーツ課課長補佐兼スポーツ推進係長の古澤慎一郎氏は言う。

カープのキャンプ地、日南市天福球場はJR油津駅から10分足らずの至便の立地。竣工翌年の1963年からカープが使っているだけに、施設全体に「昭和感」が漂う。だが、キャンプに押し寄せるファンの熱気は半端ではない。選手の通路にはファンが鈴なりになっている。「がんばって」の声が絶えずかかる。

商店街には、広島カープ優勝祈願の「鯉神社」が設けられている。商店街には選手や監督、コーチと古いなじみの店主も多い。「弱かったときからずーっと見とるとです。ここのカープファンは年季が入っとる」。真っ赤なウエアを着せた犬を散歩させながら、住民の男性は胸を張る。

2月14日で1軍は一次キャンプを打ち上げ、沖縄県沖縄市の二次キャンプに移った。「でも、同じ日南市の東光寺球場で練習していた2軍が代わりにやってきます。今年は、新井貴浩選手が残ってくれましたから、引き続き頑張ってサポートします」と前出の日南市観光・スポーツ課の古澤慎一郎氏は話していた。

「地元愛」と「球団愛」が結びついたキャンプ支援

広島カープのキャンプ地の最寄り駅油津からJR日南線で2つ隣の南郷駅下車徒歩15分の西武ライオンズのキャンプ地は広島に比べればおとなしい印象だ。

しかし、このキャンプには女性を中心に筋金入りのライオンズファンがやってくる。筆者は昨年秋の秋季キャンプでもこの地を訪れたが、毎週末に関東から通っている女性がいた。そしてその女性と、この春も再会した。春季キャンプも、週末ごとに来ている。給料は大半、ライオンズ追っかけのために消えるのだという。

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