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『駄作』を生んだシナリオライター桜庭丸男に迫る!

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2014年にCYCLETより発売された『駄作』は、衝撃的な展開と丁寧な心理描写からダークな作品を好むファンの間で話題となった。昨日に引き続き今回は、『駄作』のシナリオを描いた桜庭氏のインタビューを掲載。発表されたばかりの新展開についても話をうかがった。

「ここでHシーン」「Hシーンは顔殴る系です」とかくらいです。(桜庭氏)

 

人間らしさを追及した結果
描かれたバケモノによる物語

――本作の企画はどのように始まったのでしょうか?
桜庭 僕が企画書を提出しました。ライターとしては作品にいろんな仕掛けを入れたいんですけど、CYCLETさんはそこに寛容なメーカーですので尖った案も受け入れていただけました。

――ヒロインの顔面を殴ったり、身体にナイフで穴を開けて挿入したり。
桜庭 そういったシーンを、心理描写をしっかり加えて成立させるのが僕の作品コンセプトのひとつです。そのシーンには何が理由として必要かと考えた時、ドMだからとか、クスリで痛みを感じなくなっているとか。必然となるキャラの設定を作り込んでいきました。

――シチュエーションが先にあったんですね。
桜庭 最終的にどのキャラもハマったんですが、プロット時点では決め込んでなかったんですよ。初めての自分の企画だったのでどこまで細かくしていいかわからなくて、書いていったらなんとかなるかなと思っていました。「ここでHシーン」「Hシーンは顔殴る系です」とかくらいです。今後はもうあんなざっくりしたプロットはやめようと誓いました(笑)。

――プロット段階であまり詰めていなかったというのは驚きです。
桜庭 どのキャラも設定も心理描写もプロット上にはほとんどないんですよ。書いていく中でああいった着地点になりました。キャラの思考をなんとなく予想していたら、それがうまくいきましたね。

――そんな中でお気に入りのルート、シーンなどはありますか?
桜庭 男の娘キャラの枢ちゃんのルートがいちばん人気が高いです。でもあのキャラに特別に気持ちを込めたわけというわけではないんです。それぞれルートごとのテーマを書き上げられたと思っています。ここまで差がないのは初めての経験かもしれません。

――いつもそういうわけではないんですか?
桜庭 大なり小なり、好きなキャラや筆が乗ったルートはあるものです。でも『駄作』に関してはすべてが気に入っていて、どれが一番かというのは決められないですね。

――先日発表された『駄作』の新展開についてお聞かせください。
桜庭 アリスルートの後日談になります。アリスちゃんは比較的メインヒロインっぽい扱いにはなっているのですが、彼女には双子の姉妹のクロエちゃんがいまして。本編のルートは主人公と彼女たちとの三角関係をテーマにした物語でした。

――……そこだけ聞くと普通のギャルゲーみたいですね。
桜庭 そうですね(笑)。サブヒロインのクロエちゃんは人気投票で1位だったんですよ。
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――個人的にクロエちゃんの笑い方が印象的です。
桜庭 「ぶひぇひぇひぇ」っていうのは、顔がやけどをしていて顔面神経麻痺を患っている設定なんです。それで口がうまく動かせないって設定がありまして、変に釣り上がった口角で笑っているんですよ。役者さんにいい感じに表現していただいて、すごくありがたかったです。

――後日談はどういったものになるのでしょうか?
桜庭 『駄作』のノリをしっかり継承した作品となっています。もう一度エログロをというのも難しいのでそこは苦戦しましたが、よくまとまったと思います。本編のラストを汚さないきちんとした後日談になりました。

――そもそも、『駄作』の企画はどういった着想から生まれたんですか?
桜庭 萌えゲーシナリオを書いていて、「優等生キャラも暴言を吐くのではないか?」「素になったら口調が変わるんじゃないか」と思う時があるんです。そこを突き詰めた時、エグめのシーンだったり、ヒロインにちょっと性格が悪い子がいてもいいんじゃないかなと。年頃の女の子であれば不満に思うこともあるでしょうし、人間らしさを追求した強烈な作品があってもいいだろうというところから『駄作』は生まれました。

――作中、Hシーンでヒロインが主人公を罵倒するシーンもありますね。
桜庭 つまるところは心理描写ですね。そこを引き出す流れとして、肉体的・精神的にキツい展開にしているのだと思います。

――他作品ではそれが触手であったり、虫であったり……。
桜庭 異種姦だと相手が虫や獣なのでセリフがないですから、その分女の子視点での心理描写を丁寧に書かないといけないんですよ。そうなるとヒロインが何を考えているのか常に考えざるをえない。心理描写の訓練になっているかもしれません(笑)。

――特殊な状況下で何を考えるか、面白いところではありますね。
桜庭 トラウマだったり強要されて意志を曲げないといけなかったり。ユーザーさんに生々しく共感していただいたり気味悪く思っていただけたらこっちのものですから、腕の見せどころです。エンタテイメントとして面白いテーマだと思います。

――最後に、桜庭さんがライターとして大事にしていることとは?
桜庭 インタビューの締めにふさわしい答えは「心理描写」でしょう。展開ありきではなく、心理描写と展開とが因果関係になっていないとおかしくなります。先に展開が決まっている場合も、逆算してうまく構築することも含めて大事にしています。まあでも、もっとも大事なのは「締切を守ること」ですね(笑)。

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製品仕様

タイトル:駄作
発売日:発売中
価格:パッケージ版6,800円(税別)/ダウンロード版4,986円(税込)
ブランド:CYCLET
ジャンル:バケモノの、バケモノによる、バケモノのための、ADV
年齢制限:18禁
メディア:DVD-ROM/ダウンロード
原画:憂狐
シナリオ:桜庭丸男

製品仕様

タイトル:駄作 ~アリスとクロエ、結ばれる日~
発売日:2015年9月25日予定
価格:999円(税込)
ブランド:CYCLET
ジャンル:続・バケモノの、バケモノによる、バケモノのための、ADV
年齢制限:18禁
メディア:ダウンロード
原画:憂狐
シナリオ:桜庭丸男

関連リンク
Cyc
Gyutto.com【駄作~アリスとクロエ、結ばれる日~】商品ページ
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