経営再建中のシャープの戴正呉社長が13日、堺市の本社で記者会見し、今春闘での年間一時金(賞与)に関し、昨年の2倍の平均4カ月分を支給することを明らかにした。ただ成果に応じ、最大8カ月分から最小1カ月分まで幅を設け、信賞必罰の報酬体系を徹底する。
戴社長は昨年8月に傘下入りした台湾の鴻海精密工業から派遣され7カ月になる。「能力ややる気のある人に入社してほしい」と述べ、成長加速に向け、新入社員の通年採用や第二新卒の採用を拡大する考えも示した。
2018年4月入社の採用者数は、17年4月の2倍にする。優秀な新入社員に対しては、入社半年程度で大幅な給与の引き上げも行う方針。
戴社長は「若い人材を確保し、会社の平均年齢を現在の約50歳から45~46歳程度に引き下げたい」と話した。
また、次世代の超高精細な8Kの放送技術を使った液晶テレビなど10事業で成長を目指す考えも表明。「守りから攻めの経営に転換し業績を拡大していく」と述べ、新規事業の開拓に意欲を示した。
10事業には、あらゆるものをネットワークにつなげる「モノのインターネット(IoT)」を使い生活を便利にする商品や、企業向けの液晶パネル事業、中国で展開を強化する白物家電などが含まれる。
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【用語解説】シャープ再建への取り組み
2016年8月に台湾の鴻海精密工業の子会社となったシャープは、戴正呉社長の下で社内改革を実施。生産工場の集約や鴻海グループとの合弁会社の設立など、経営合理化を進める一方、信賞必罰の人事制度を導入。欧州のテレビ事業への再参入や、米国で液晶パネル工場の建設を表明するなど積極的な投資も行っている。