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 鰻(うなぎ)さん、問註所(もんちゅうじょ)さん……。10万~15万とも言われる日本人の名字の中でも、九州・沖縄には珍しい名字が多く残っている。福岡市内には国内のほとんどの名字をカバーできるほどの数をそろえたハンコ屋さんがある。全国随一の品ぞろえとの評判を頼りに、客がひきもきらない。

■日本人の名字「98.5%カバー」

 店に入ると、すぐさま目を奪われた。蜂の巣、とでも言おうか。店の奥までハンコの「壁」が続く。

 JR鹿児島線箱崎駅から歩いて数分。創業85年を迎えた老舗「はんのひでしま」(同市東区箱崎)は、マンションの1階にひっそりとある。

 機械彫りの小判型認め印(1本540円)が約10万本、高さ約1メートル50センチの自作の棚にぎっしりと詰まっている。「これで名字の98・5%はカバーできるはず」と店主の秀島徹さん(69)。店は長女と三女の3人で切り盛りする。

 日本人の名字の数は、公的な調査がなく正確にはわからない。秀島さんや研究家によると、新旧字体や読み方・清濁の違いなどにもよるが、10万~15万ほどと見られる。約5千あれば80%はカバーできるという。つまり10万となると、ほとんどが需要の少ないハンコばかりだ。

 「そうなんですけどね。県庁や区役所に近く、急ぎで必要な保険や不動産、自動車関係の人が来ます。『ありません』じゃ、申し訳ない」と秀島さん。

 25歳で2代目となり、さまざまな名字のハンコをそろえ始めた。新聞、テレビから書籍、マンガ、電話帳まで。見たことのない名字を求めて毎日、あらゆる媒体に目を通す。紙とペンを手にテレビを見たりするのもすっかり習慣になった。あまりに珍しい名字に出合うと、実在するか確認するため、役所に連絡したこともある。

 難読・希少名字事典をめくっては足りない名字を補充する。「効率は悪い。でも他にはない品ぞろえが店の『看板』になりました」

 5年くらい前に全国放送のテレ…

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