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小型マグロ「スマ」に注目 新たな養殖魚へ愛媛県など研究本格化

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小型マグロ「スマ」に注目 新たな養殖魚へ愛媛県など研究本格化

 新たな養殖魚として、南方系の小型マグロ類「スマ」に注目が集まっている。魚類養殖業の生産額が全国一の愛媛県は、今年度から養殖技術の研究を本格的に開始。和歌山県も平成24年度から養殖技術の研究に取り組んでいる。スマは漁獲量は少なく、養殖や飼育の実績は少ないが、脂がのった味は評判。「幻の高級魚」として高値での取引も期待できるという。

 スマは南日本からインド洋、太平洋の温帯、熱帯域に広く生息。体長は40~50センチ。下腹にやいと(お灸)を添えたような痕があり、地域によっては「ヤイトガツオ」とも呼ばれる。

 曳(ひ)き網漁などで捕獲されるが、漁獲量は少なく、市場では1キロあたり1700~2千円と高値で取引される。国内での養殖や飼育の実績は少ないという。

 愛媛県では平成24年の魚類養殖業の生産額が546億円で、うち生産量の約9割がブリ類、マダイに集中。多様化を目標に、既存の養殖施設も利用できることなどからスマの養殖に乗り出した。愛媛大とも連携し、今年度から採卵技術の開発などに取り組んでおり、28年度をめどに実用化につなげたいとしている。

 一方、愛媛県より一足早く24年度から養殖研究に乗り出した和歌山の県水産試験場では産卵や稚魚の飼育に取り組んでおり、担当者は「南方系の魚なので冬場を越せるような飼育方法など課題も見えてきた」。同県と共同研究している竹内裕・東京海洋大先端科学技術研究センター准教授は「養殖のノウハウは研究を続ければ得られるが、知名度が低い魚だけにマーケットを作っていくことが課題になる」と指摘している。