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性犯罪を厳罰化、成立 「非親告罪」化などが柱

参院で改正刑法が可決・成立し、傍聴席で刑法改正を求めるグループで考案したダンスのポーズを取って喜ぶ山本潤さん(中央)。ポーズは「性が対等であること」を表す=国会内で2017年6月16日午後5時42分、和田大典撮影

 性犯罪を厳罰化する改正刑法は16日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。強姦(ごうかん)罪の法定刑下限を引き上げ、被害者の告訴がなくても加害者を起訴できる「非親告罪」化などが柱。性犯罪に関する大規模改正は、1907(明治40)年の刑法制定以来初めて。来月13日に施行される見通し。

     「共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する改正組織犯罪処罰法の審議が先行し、今国会での成立が危ぶまれていたが、会期末直前に駆け込む形での成立となった。

     改正法は、強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更し、「加害者は男性、被害者は女性」といった性差を解消する。強姦罪と強姦致死傷罪の法定刑下限は懲役3年と同5年と規定されているが、それぞれ同5年と同6年に引き上げる。引き上げに伴い、集団強姦罪(4年以上の有期懲役)と集団強姦致死傷罪(無期または6年以上の懲役)は廃止する。

     同じ現場で強姦と強盗をした場合、どちらが先かによって法定刑に不均衡があったため「強盗・強制性交等罪」として「無期または7年以上の懲役」に統一した。

     これまで強制わいせつ罪で処罰されていた、一部の性交類似行為についても強姦罪の対象とした。強姦罪、強制わいせつ罪などは「非親告罪」化し、施行前の事件にも原則適用する。

     このほか、家庭内での性的虐待を念頭に、親などの「監護者」が立場を利用して18歳未満の子にわいせつな行為や性交などに及んだ場合は、暴行や脅迫が伴わなくても罰する「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」も新設した。

     付則には「施行後3年をめどに性犯罪の実態に合わせた施策の在り方について検討を加える」などの内容が盛り込まれた。【鈴木一生】

    16日成立した改正刑法の骨子

    ・強姦罪と強姦致死傷罪の法定刑の下限を引き上げる

    ・強姦罪の加害者と被害者の性差をなくす

    ・強姦罪や強制わいせつ罪などを非親告罪化

    ・強制わいせつ罪などで処罰される行為のうち悪質性の高い一部行為を強姦罪で罰する

    ・18歳未満の子供に、父母などが影響力に乗じて性交やわいせつ行為をした場合の罰則を新設(成立に暴行や脅迫は不要)

    ・強姦罪の名称を「強制性交等罪」に変更

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