糸魚川―静岡構造線に新地表断層 興津川支流域、静岡県内最大
(2017/6/15 08:06)-
新潟県糸魚川市と静岡市を結び、起源を日本列島誕生にまでさかのぼることができる断層「糸魚川―静岡構造線」(糸静線)の巨大露頭(地表に現れている断層)を同市葵区の地質学者塩坂邦雄さん(72)が14日までに、同市内で発見した。南北の長さ約30メートル、高さは最大で6メートル。別の専門家によると、県内最大の露頭。学術上、極めて貴重な発見とみられる。
発見したのは同市清水区の興津川の支流沿い。周辺にはワサビ田が広がり、一般の人はめったに立ち入らない場所という。塩坂さんは大学などの研究機関には属していないものの、大学卒業後、地道に糸静線の調査を継続してきた。2016年3月、地質図に記載された糸静線沿いを歩いている際、今回の露頭にたどり着き、さらに詳細な調査を進めてきた。
糸静線の露頭は山梨県早川町で国の天然記念物(長さ約20メートル、高さ約20メートル)になっている。新たに見つかった露頭について、関係者からは「天然記念物級の発見」との声も上がっている。
6月中旬に塩坂さんと現地調査を実施した狩野謙一静岡大名誉教授(構造地質学)は「端的に言えば、中学1年の理科の教科書にも出てくる糸静線の実態を、県内でも明確に見られる場所が見つかった」と今回の発見の意義を解説した。
■大地の動き実感「貴重なジオサイト」 県外では観光利用も
静岡市清水区で新たに発見された「糸魚川―静岡構造線」(糸静線)の巨大露頭。一度は聞き覚えのある人も多いこの断層名も、静岡県民の関心はいまひとつだった。一方で、断層沿線の自治体の中には、露頭をてこに町おこしをしている例もある。発見者の塩坂邦雄さん(72)は「貴重なジオサイトとして大事に育てて」と話す。
これまで静岡県内の糸静線の露頭として知られていたのは、同区の林道沿いにある小規模なもの(長さ、高さ数十センチ)。今回発見した巨大露頭は約2・5キロ北方に位置する。
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