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絶滅危惧種 ゼツメツキグシュ

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デジタル大辞泉の解説

ぜつめつきぐ‐しゅ【絶滅危惧種】

現在生存している個体数が減少しており、絶滅の恐れの極めて高い野生生物の種。日本ではツシマヤマネコシマフクロウなど。絶滅危険種
[補説]「絶滅危惧種」は、日本の1991年版レッドリストで使用されていたカテゴリー項目の一。絶滅の危機に瀕している種で、絶滅の危険性は危急種よりも高く、絶滅種より低い。略号はE(Endangered)。1997年版以降では「絶滅危惧Ⅰ類」として分類されている。

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知恵蔵miniの解説

絶滅危惧種

絶滅の恐れがある生物のこと。特に、国際自然保護連合IUCN)が定める「絶滅の恐れのある生物リスト(レッドリスト)」の絶滅危惧種カテゴリーに分類された生物のこと。IUCNは1948年、スイスに設立された国際的な自然保護機関であり、様々な動植物の生息状況を調査・評価し、毎年「レッドリスト」を発表している。レッドリストは、絶滅種(Extinct=EX)から情報不足種(Data Deficient=DD)まで八つの段階に分類されており、「近絶滅種(CR)、絶滅危惧種(EN)、危急種(VU)」が絶滅危惧種とされる(日本の環境省の呼称では「絶滅危惧1A類、絶滅危惧1B類、絶滅危惧2類」が相当する)。2014年11月に発表されたレッドリストでは、絶滅危惧種に2万2413種が分類されており、日本で消費量が多い太平洋クロマグロも新たに「危急種(VU)」として指定された。

(2014-11-20)

出典|(株)朝日新聞出版発行
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絶滅危惧種
ぜつめつきぐしゅ
endangered species

動植物のなかで、1個体も生存しなくなった状態を「絶滅」したといい、そのおそれがもっとも大きな状態の種や亜種を「絶滅危惧種」と指定している。絶滅危惧種について、当初は「絶滅に瀕(ひん)したもの」という表現が使用されていた。定義の詳細は「現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用するならば、その存続は困難なもの」となっている。しかし、「絶滅危惧種」のことばをひろく「絶滅のおそれのある野生生物」にあてて使われることがある。
 1966年に世界中の絶滅のおそれのある野生生物の現状を集約した『レッド・データ・ブック』Red Data Bookが国際自然保護連合(IUCN)から発行され、危機の程度によって4段階のカテゴリーが設定された。日本では、91年(平成3)4月に環境庁(現環境省)が、脊椎(せきつい)動物および無脊椎動物についての日本版レッド・データ・ブック『日本の絶滅のおそれのある野生生物』を編集・発行し、そのなかで、IUCNの4段階のカテゴリーに「地域個体群」を加えた(1)絶滅種Extinct、(2)絶滅危惧種Endangered、(3)危急種Vulnerable、(4)希少種Rare、(5)地域個体群Local Populationの5段階を設定した。
 IUCNは1989年からカテゴリーの改訂を始め、96年新カテゴリーに基づくレッド・リスト(レッド・データ・ブックの基礎となるリスト)を採択した。これに伴い日本でも、95~99年に行ったレッド・リストの植物版作成と動物版見直し作業の際、IUCNに準じた新カテゴリーを採用した。これにより「絶滅危惧Threatened」でくくられた絶滅のおそれのある種に関する新カテゴリーは
〔1〕絶滅危惧類(CR+EN) 絶滅の危機に瀕している種
(a)絶滅危惧A類Critically Endangered(CR) ごく近い将来に野生での絶滅の危険性がきわめて高い種
(b)絶滅危惧B類Endangered(EN) A類ほどではないが、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い種
〔2〕絶滅危惧類Vulnerable(VU) 絶滅の危険が増大しており、「絶滅危惧」へ移行するおそれのある種
と定義された。
 また、「絶滅危惧」以下に
〔3〕準絶滅危惧Near Threatened(NT) 現時点では絶滅危険度は少ないが、生息条件の変化によっては上のランクに移行するおそれのある、存続基盤の脆弱(ぜいじゃく)な種
〔4〕情報不足Data Deficient(DD) ランクを判定するための情報が不足している種
が定義され、付属資料として、
〔5〕絶滅のおそれのある地域個体群Threatened Local Population(LP) 地域的に孤立している個体群のなかで、絶滅のおそれが高いもの
がつけ加えられた。
 上記の日本版レッド・リストには、〔1〕および〔2〕にあたる絶滅危惧種(亜種を含む)は、動物では哺乳(ほにゅう)類48種、鳥類90種、汽水・淡水魚類76種、両生類14種、爬虫(はちゅう)類18種、昆虫類139種、陸・淡水産貝類251種、甲殻類等25種、クモ類・多足類等8種、植物では維管束植物(種子植物、シダ植物)1665種、維管束植物以外の植物(蘚苔(せんたい)類、藻類、地衣類、菌類)329種があげられた。
 日本版レッド・データ・ブックは、関係の学会などの調査結果を基に改定されている。哺乳類については、日本哺乳類学会が『レッドデータ 日本の哺乳類』を作成している。また、高等植物(維管束植物)については日本自然保護協会(NACS-J)、世界自然保護基金日本委員会(WWF Japan)の2団体により『我が国における保護上重要な植物種の現状』が1989年に発行されており、これが植物における日本版レッド・データ・ブックとして活用されている。
 なお、法令で指定されている絶滅のおそれのある動植物は、種の保存法では「希少野生動植物種」、文化財保護法では「特別天然記念物・天然記念物」として扱われている。[祖谷勝紀]
『我が国における保護上重要な植物種及び群落に関する研究委員会編『我が国における保護上重要な植物種の現状』(1989・日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会) ▽環境庁自然保護局野生生物課編『日本の絶滅のおそれのある野生生物 レッドデータブック』(1991~ ・自然環境研究センター。2001年以降は環境省自然環境局野生生物課編) ▽ウォルター・V・リード、ケントン・R・ミラー著、藤倉良編訳・解説『生物の保護はなぜ必要か――バイオダイバシティ(生物の多様性)という考え方』(1994・ダイヤモンド社) ▽環境庁野生生物保護行政研究会編『絶滅のおそれのある野生動植物種の国内取引管理――絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律詳説』(1995・中央法規出版) ▽日本哺乳類学会、川道武男編『レッドデータ 日本の哺乳類』(1997・文一総合出版) ▽小原秀雄ほか編著『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ』全8巻・別巻1(2000~2001・講談社) ▽羽山伸一著『野生動物問題』(2001・地人書館)』

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