世の中に登場してから20年がたつプリントシール機は、いまや女子中高生にとって友人とのコミュニケーションツールの一つとして欠かせない。画像処理技術も向上し、商品価値も高まっている。シール機メーカーのフリューは国内シェア約70%の業界トップだ。田坂吉朗社長は、高いシェアをベースに「社内対話を重視して多様なアイデアを事業のヒントにつなげる」経営を進めていく考えだ。
--オムロンの関連会社から経営陣らによる自社買収(MBO)で独立した
「もともとオムロンの新規事業として、プリントシール機に参入し、最後発だが数年で業界首位に立った。その後、全額出資子会社になり、売上高100億円規模にまで成長した。しかし、本業へ集中するオムロンの経営方針転換が示されたことから、MBOによって独立した」
--失敗を糧にして成功した
「最初は1997年に似顔絵プリントシール機を出荷した。コンピューターグラフィックで似顔絵をシールにする独自性はあったが売れなかった。翌年に在庫処分のため、苦肉の策としてプリントシール機に改良して販売したところ、急激に売り上げを伸ばした。従来、市場では解像度の低いデジタルカメラが用いられていたが、当社は業界に先駆けて一眼レフカメラを搭載した。顔をきれいに修正する画像処理技術など、当社の強みを生かしたことが支持された」
--撮影した画像をモバイル端末でも利用できる
「モバイル端末で画像を再利用したいというニーズに応えた。若い女性層をターゲットとしたプリントシール画像取得・閲覧サービス『ピクトリンク』は10~20代の女性を中心に755万人の会員がいる。この年代の女性に特化した、これだけの規模のデータベースを活用できるのは大きな強みだ」