「藤枝本町駅」取り壊しへ 軽便鉄道、現存最後の駅舎跡
(2016/11/10 09:09)-
軽便鉄道の名で知られる静岡鉄道「駿遠線」の「藤枝本町駅」駅舎跡建物(藤枝市藤枝)が築100年以上経過し、老朽化のため取り壊される。9日、関係者への取材で分かった。市郷土博物館によると、同線では約50の駅があったが、現存する最後の駅舎跡だった。
同館などによると、駅舎跡の建物は和風の木造平屋建てで広さ約55平方メートル。待合室や事務所があった。同駅名に改称されたのは1956年で、以前は「岡出山駅」という名称だった。同線のうち新藤枝と藤枝大手駅区間は大手線と呼ばれた。大手線が開業した13年から廃線となった64年まで半世紀にわたって駅の役割を果たした。
駅舎は廃線後、安藤塗装店の作業場として使われてきた。同店は66年ごろ、大手駅付近から土地を交換するような形で藤枝本町駅跡地に移転した。4年前に亡くなった安藤文一さん(享年78)が使っていたが、他界した後は物置になっていた。
現在、建物を管理する安藤さんの妻肇子さん(77)は「今年の夏ごろ家族で話し合って取り壊しを決めた。きれいに保存できればいいが、時代の流れで仕方がない」と語った。
市郷土博物館の海野一徳学芸員は「藤枝の産業遺産で軽便ファンにとっては残念」と話した。軽便鉄道を使った茶の輸送などを研究している静岡産業大情報学部講師の内藤旭恵さんは「歴史的にも貴重な建物だったので、もったいないし、さみしい」と惜しんだ。
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