吉田拓郎「僕はディランのモノマネ」70歳での初ツアー終了

2016年10月28日6時0分  スポーツ報知
  • 70歳になって初めてのツアーを締めくくった吉田拓郎

 シンガー・ソングライターの吉田拓郎(70)が27日、パシフィコ横浜で首都圏ツアー(4か所5公演)の最終公演を行い、ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン(75)への思いを語った。開演前にはスポーツ報知など新聞各社を前に、2004年以来という異例の合同取材に応じた。憧れのディランに対し「僕はモノマネをやっているだけ」と計り知れない存在の大きさを明かし、ステージでは「風に吹かれて」を披露。2年ぶり、70歳になって初めてのツアーを締めくくった。

 観客に語りかけながら、拓郎は50年以上前のことを思い返した。「『風に吹かれて』を聞いたとき、歌詞とかは把握できていなかったけど、形に衝撃を受けた。ギター1本で歌う歌い方、歌手としての存在の仕方。それをマネしてみたいと思った。ボブ・ディランの放浪の旅に憧れて、僕も放浪しなきゃいけないと思った少年時代があった」。今でも鮮明によみがえる記憶を胸に、ステージでディランになりきった。

 11日の大宮公演で即興で披露した2日後に、ディランのノーベル賞受賞が発表された。「本当に偶然。ビックリしましたから」。19日の東京公演とこの日の公演はギター弾き語りではなくバンドの演奏に歌声を乗せた。

 高校時代にディランの資料、写真を取り寄せ、読みあさった。「僕はマネ。マネがすべて」。モノマネが吉田拓郎の礎を築いた。「歌詞を作るのに、いくつ言葉を畳み込んでも構わないというのは、ボブ・ディランから教わった。だから僕の歌詞にも字余り、字足らずがすごく多い。人は歌いにくいんですけど、ボブ・ディランから教わった技」

 開演1時間ほど前には、記者と向き合う形で「囲み取材」に応じた。約22分間、大いに語った。03年に肺がん手術を受けた。07、09年には体調不良でツアーを中止したこともあったが、最近は精力的に活動。ステージに立つたび「復活」という言葉が自身を取り巻いた。もう“病人扱い”されたくなかった。「そんじょそこらの70歳より元気にやってるつもり」と強烈な自負を伝えたかった。

 2時間、23曲を披露。「それこそ終わったら飲みに行こうなんて話は、冗談じゃないというぐらい疲れる」と苦笑いしながら、今だからこそ、の思いもある。「昔より楽しい。若い頃より楽しめている」。ディランも70歳を超えて、年間100本以上の公演をこなす。ディランに憧れて、歌手の道を選んだ。「モノマネ」の旅は、まだまだ終わらない。この日の公演は12月23日後10時からNHKで放送。

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