【コラム】韓国史学界の「恐るべき子どもたち」

 今回の論争には、興味深い点が二つあった。まず一つは、ソウル大学国史学科講師、延世大学博士課程在学、成均館大学博士課程修了といった経歴・職責が示すように、寄稿した研究者の多くが30-40代の少壮研究者だったことだ。主流歴史学界の立場を受け継ぐ「学問後継世代」が今回、論争に大挙参入したと理解することができる。もう一つは、古代史論争にも「攻守交代」の兆しが見えるという点だ。これまでは、在野歴史学界が攻勢的な態度であったとすると、主流歴史学界の方は防御に重きを置いていたといえる。ところが今回の論争では、主流歴史学界の見解を支持する若い研究者らが反撃に出た。古代史において「刀のつかを握る」者が変わった、というわけだ。

 実際、古代史に民族感情を結び付けすぎることには、時代錯誤的な面がある。古代史は、近代的な民族国家が形成される前の領域だからだ。英国は、5世紀にアングロ・サクソン人がブリテン島に侵攻した後に成立したという事実を隠したりせず、フランスは、一時ローマ帝国の支配を受けたことを恥じたりしない。アングロ・サクソンの支配がなければ、英国は英語ではなくケルト語を使っていたはずで、ラテン語がなければ、優雅なフランス語は誕生しなかったかもしれない。

 陣営の論理でしか学問を見ないなら、一進一退の攻防が繰り返されるだけだ。「後ろの波が前の波を押し出す」という世代交代の観点から思考して初めて流れが見え、進展が生まれる。国史学界の「恐るべき子ども」(enfant terrible)の登場は、こうした意味でも喜ばしい現象だ。

キム・ソンヒョン文化部次長
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