石田まさひろ『公認心理師法 成立へ』

2015-09-08 23:32:12

公認心理師法　成立へ

公認心理師法が参議院の文部科学委員会で可決されました。
明日（9日）午前中に予定されている参議院本会議で成立する予定です。

私が心理士の国家資格化にはじめてかかわったのが、20年以上前。長い道のりでした。
当時精神病院で働いていた私は、この国家資格化に関するシンポジウムで、精神科でのチーム医療での実践について語り、その中で心理士の国家資格化への希望を述べました。その後何度も経験しますが、シンポジストとか講師として生まれて初めて話をしたのがこの時でした。ですからとても印象深く記憶しています。

幾度か国家資格化へのチャレンジがありましたが、挫折。そしていよいよ今回、これでできなければもう駄目だという想いで、多くの関係者が努力なさりました。

自民党では、河村健夫先生、鴨下一郎先生、加藤勝信先生が先頭にたち、岡山の山下貴司先生が中心となって法案をまとめ、議員たちを説得しました。先生方の活躍はすごかったです。

私は自分の思い入れがあり、勝手連的にこのチームに加えていただき、参議院を担当しました。議員立法のプロセスにかかわることができ、学びも多かったです。

さて、内容ですが、目的は「公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与する」ことです。

医療だけでなく、福祉の場面、教育の場面、産業保健の場面、さまざまなところでこころの健康に対する関心がますます深まっています。公認心理師の法制化で、こころの健康のために働こうという志高い人たちが増えていくと思います。

国家資格化したとしても、いままである様々な民間資格はなくなりません。
25000人の臨床心理士、40000人の産業カウンセラー、35000人の認定心理士はじめ多くの心理資格があります。これらは残ったうえで、公認心理師になるために必要な教育課程をおさめ試験に合格すると、重ねて公認心理師になります。

公認心理師の業ですが、
① 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
② 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
③ 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助
④ 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
となっています。
専門的な知識と技術が必要ですね。

受験資格は、
① 大学において主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、かつ、大学院において主務大臣指定の心理学等の科目を修めてその課程を修了した者等
② 大学で主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、卒業後一定期間の実務経験を積んだ者等
③ 主務大臣が①及び②に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認めた者

カリキュラムや教科は、これから文部科学省、厚生労働省で詰めていきます。いずれ検討会が立ち上がり、具体的な検討が始まります。施行が公布の日から2年以内となっていますから、それまでに詳細が決定されます。

義務として、信用失墜行為の禁止と秘密保持義務のほかに、「医師、教員その他の関係者との連携を保たねばならず、心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治医があるときは、その指示を受けなければならない」ことが定められています。

詳しくは法文をご覧ください。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18901038.htm