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かれこれ4年半かけて『えんとつ町のプペル』(2016年秋発売)という絵本を作っているのですが、よく、「えんとつ町のモデルはどこですか?」という御質問をいただくので、お答えします。

『えんとつ町』のモチーフにした場所はいくつかあって、そのうちの一つは台湾の九份(きゅうふん)。
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映画のロケ地などでよく使われていて、日本だと『せんと千尋の神隠し』の町のモデルになったとかならなかったとかで有名ですね。

そして、二つ目が、山口県にある周南コンビナート。
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『えんとつ町』に欠かせないのは、やはり煙突で、ヨーロッパにみられる煙突のある家も一度考えたのですが、黒い煙で覆われた町の「閉塞感」を出したくて、コンビナートを選びました。
コンビナートの中でも、個人的には周南コンビナートが色っぽくて好きなのです。

そしてそして…

提灯だらけの九份の町と、鉄骨むき出しのコンビナートという二つのエッセンスを入れつつ、えんとつ町のモデルの柱となっている町、それが、

渋谷です。

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えんとつ町は高い高い崖に囲まれた谷底の町(だから煙がたまる)なのですが、地理的に言うと、渋谷もやはり谷底の町なのです。
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そして、えんとつ町のアイコンといえば、やはり煙突。
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(※ラフ画)

あまり知られていませんが、実は渋谷には、渋谷で出たゴミのほとんどを処理してしまう最先端のゴミ処理場があるのです。
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そのゴミ処理場の煙突の高いこと、高いこと。
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渋谷駅のすぐ近くにあるので探してみてください。

煙突だけでは、ございません。
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↑この場所のモデルは、渋谷スペイン坂。
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何気ない階段も、やはり渋谷の景色です。
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そして、『えんとつ町』には路面電車が走ってあるのですが、
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これも、その昔、渋谷の町をゴトゴトと走っていた路面電車『玉電』がモデルです。
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渋谷に路面電車が走っていたなんて、今じゃ考えられませんね。

そんでもって、今から、コチラの絵(ラフ画)には、町の高低差を表現する為にロープウェイを書き加えます。
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「さすがに、ロープウェイは渋谷じゃないだろ!?」という声が飛んできそうですが、どっこい、その昔、渋谷スクランブル交差点を見下ろす形でロープウェイが走っていたのです。
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これも、あまり知られていませんね。
『ひばり号』という名のロープウェイ。カッコイイぜ!


『えんとつ町のプペル』の主人公・プペルは、「ハロウィンの夜にやってきた身体がゴミのゴミ人間」です。
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これもやはり渋谷。
一昨年あたりから問題になっているハロウィンのゴミ問題です。
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このゴミ問題に関しては、去年、見事な策で解決しました(今年もやります!10月30日の予定空けておいて!)。
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『ゴミ』と言っちゃうと少々ネガティブな響きがありますが、しかし、日本のハロウィンは収穫祭ではなく世界一のコスプレ大会で、そのアイコンはオバケではなく、『渋谷』であり、『仮装』であり、『ゴミ』である、と考えました。
一定数は生き残ると思いますが、ここから日本のハロウィンは『オバケ』や『ゾンビ』の仮装は減り、それよりもコスプレ大喜利の方向に向かっていくことでしょう。
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なので、日本でハロウィンの歌を作られたりする際は『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』に見られるような、ああいうパンプキン&オバケな感じではなく、コスプレソングを作られた方が良いと思います。

日本人特有のコンプレックスからくる変身願望、そして、「コスプレを見てほしい」という逃げ道を作ることで、合法的に自撮りをしてInstagramにアップできるので、コスプレ大会に向かっている今のハロウィンは実に日本的です。

町のモチーフだけではく、文化としても、『えんとつ町』のモデルは渋谷なのでした。

今年のハロウィンも安全に盛り上がるといいですね。
フランスのようなテロがおこる前に、あの夜だけは、人混みにトラックが突っ込んでこれないようにバリケードを置いて道路を封鎖し、渋谷スクランブル交差点を歩行者天国にすべきだと思います。

人が殺される前に、渋谷警察の偉いオジサンと話がしたいな。

 




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